第7話 配信準備
「それで配信するアカウントはどうするんですか?」
「それは私のほうで用意してあるから大丈夫なんだけど、響姉にお願いがあってね、響姉って一切使ってないけど無駄にフォロワーが多いトゥイッターのアカウントあったよね?」
「無駄にというのは少し失礼な気がしますが……ありますよ」
響華はトゥイッターなど普段から一切使っていないのだが、Sランクに昇格した時に、探索者協会の協会長から「何があるかわからんし、一応作っておけ」と言われ作ったアカウントがあったのだ。
作って以来響華はそのアカウントで何か発信したことは無いのだが、探索者協会の公式アカウントが響華のアカウントをフォローした結果、このアカウントが本物のSランク探索者のアカウントだということがわかり、響華のアカウントは急激にフォロワーが増えていたのだ。
結果、響華のアカウントは何も発信していないのに、フォロワーは100万人を優に超えるという謎のアカウントと化していた。
「それのアカウントを使って宣伝して欲しいんだよね!どうせだったらたくさんの人に見てもらいたいし、そのアカウントで宣伝すれば絶対たくさんの人が見に来てくれると思うから!いいでしょ?」
「まぁ、いいですよ……その代わり私のスマホを渡しますから愛奈ちゃんがその宣伝の文字を考えて発信してくださいね」
「わかった!……けどなんで?」
「……私、トゥイッターの使い方わかりませんから……」
「あ……」
響華が顔を俯かせる。その反応を見た愛奈は、少し気まずそうにしながらも差し出された響華のスマホを受け取り操作する。
「響姉が発信する内容だからこれをこうして、よし!えっとこれでいい?」
そう言って、響華にスマホの画面を向ける愛奈。
『今日、後輩のAランク探索者と一緒に配信をすることになりました。
なので時間がある人はぜひ配信を見に来てください』
「響姉のキャラ的に砕けた文章じゃなくて丁寧な文章の方がいいと思ったんだけど……」
「これで大丈夫ですよ」
「了解!じゃあこの文章に配信のURLを貼って発信するね!」
そうして愛奈がトゥイッターにその内容をトゥイートした瞬間、即座にたくさんの人が様々な反応を示す。
『初めてこのアカウントが動いたぞ!』
『この初期アイコンでプロフィールも一切書かれていないこのアカウントがとうとう動いただと!?』
『配信するのか……あの狂姫が?』
『あの狂姫が配信だと!?』
『後輩のAランク探索者って誰だろう?』
『初めてのトゥイートが宣伝か……』
『初配信って何するんだろう?』
『昨日の椿ちゃんのことと何か関係をかあるのかな?』
『ダンジョン配信だと嬉しいな!』
『配信に内容が何であれ、楽しみだな!』
「響姉の人気めちゃくちゃ凄いね!いろんな人が反応してるよ!」
「私自身の人気が凄いというよりかはSランク探索者という肩書の人気が凄いだけな気がしますが……」
そんなことを言う響華だが、そんなことはない。
実際Sランク探索者という肩書の人気もある。だがそれ以上に、響華自身の人気もすさまじい。モデル並みのルックスにスタイル、そして噂で語られている強さに狂気性。そのすべてが響華の人気を後押しする形となっている。
そしてそれだけの人気があるため非公式ファンクラブが設立されているくらいだ。
「響姉はもっと自分を正しく評価したほうがいいと思うけどな~」
「私は自分に対して適切な評価をしていると思っていますが……」
そんな会話をしていたが、配信の予定時刻が近くなってきたので、会話を切り上げて配信の準備が出来ているかの最終チェックをするのだった。
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