第12話 立会人の協会長
次の日、響華は愛奈との決闘のために、探索者協会が所有する決闘場に来ていた。
(愛奈ちゃんは……まだ来てないみたいですね。少し早く来すぎたでしょうか?)
響華はそう考えながら、待っていると奥のほうから足音と共に声が聞こえてきた。
「よう狂姫、今日はAランク探索者と決闘だって聞いたが……」
奥から出てきたのは、探索者協会全体を取りまとめる協会のトップ、協会長だった。
「はい、今日は愛奈ちゃんと戦う予定ですが、それが何か?」
協会長は、響華のその返事を聞くと、頭を抱える。
「はぁ……何でよりによって狂姫とAランク探索者の決闘の立会人なんて面倒なものを引き受けないといけねぇんだ……」
響華は協会長のその言葉に少し呆れた表情になる。
「Sランク探索者とAランク探索者の決闘ですよ?元Sランク探索者であるあなたでないと立会人は務まらないと思いますが」
「それはそうなんだがなぁ……」
協会長は納得出来ないような顔をする。
「それに、私は個人的に愛奈ちゃんとの決闘を楽しみにしているんです。だから、あなたじゃないと立会人は引き受けられないんですよ」
「はぁ……狂姫がそう言うならそうなんだろうな……わかった。立会人の件は俺が引き受けよう」
協会長は響華にそう答える。
「ありがとうございます」
そんな二人のもとに愛奈がやって来たので二人は話をやめ、愛奈の方に意識を向ける。
「響姉!もう来てたんだ!もしかして結構待たせちゃったかな?」
「いえ、私もついさっき来たところです」
「そうなんだ!ならよかった!」
愛奈は響華にそう答える。
「今日はよろしくお願いしますね」
「うん、絶対に負けないんだから!」
そして、愛奈と響華はお互いに礼をする。
それからしばらくして、協会長が二人の準備が整っていることを確認すると立会人としての挨拶を始める。
「あー……今日はSランク探索者、白崎響華とAランク探索者、楠本愛奈との決闘で間違いないな?」
協会長は二人に確認する。
「はい!」
「間違いありません」
そんな二人の返事を確認すると、協会長は話を続ける。
「まぁ、改めてもう一度言うが今日は白崎響華と楠本愛奈の決闘だ。ルールは基本なんでも有りだが、殺しだけはやめろよ?それ以外は好きに暴れていいから」
「はい!わかりました!」
「私も問題ありません」
協会長の忠告に愛奈がそう答える。
そんな二人に向かって、協会長は最後の確認をする。
「よし!ならもう何も言うことはねぇな!じゃあ二人とも準備はできてるな?」
協会長の言葉に二人は頷くことで返事をする。
「そうか……なら、Sランク探索者白崎響華!Aランク探索者楠本愛奈!悔いの無いように全力で相手を倒せよ!」
「はい」
「うん!任せてよ!」
協会長の言葉に二人は返事をする。
そんな二人の返事に満足すると、協会長は決闘場を出ていく。
そして、協会長が出て行った後すぐに響華と愛奈はお互いに距離を取る。
「響姉!今日は私が勝つから!」
「愛奈ちゃん、私も負ける気はありませんよ?」
そして、二人はお互いに武器を構えて戦闘態勢に入る。
そんな二人の様子を決闘場の外から見ていた立会人の協会長は開始の合図をする。
「よし!じゃあ決闘を始めるぞ!始め!!」
そうして決闘が始まるのだった。
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