第13話 決闘開始

「それでは行きますよ」


 響華がそういうと同時に、愛奈の視界から響華の姿が消える。


「速すぎっ……!」


 愛奈は咄嗟の判断で自身の周囲に魔力の障壁を張り、響華の攻撃に備える。


「なかなか良い障壁です、ですが……」


 響華は愛奈の障壁に凄まじいパワーの拳を叩きつける。


「その程度なら、スキルや魔法を使うまでもありません」

「えっ……ぐっ……!」


 愛奈の障壁は響華の攻撃によって粉々に砕け散り、愛奈は壁まで吹き飛ばされる。


「今の一撃で愛奈ちゃんを仕留めるつもりでしたが、まだ意識があるなんて驚きました。そこら辺のAランク探索者なら今の一撃で沈んでいるはずですが……愛奈ちゃんはなかなかタフですね」


 響華はそう話しながら愛奈にゆっくりと近づいていく。


(やっぱり響姉は強いな~、身体スペックは多分こっちが全部負けてるし……、やっぱり私の『固有属性』を使って戦っていくしかないかな)


 愛奈は響華に吹き飛ばされたダメージから立ち直り、そう考える。

 そして、愛奈は響華と戦うための覚悟を決めて立ち上がる。


「やっぱり、響姉は強いね!でも……私だって強くなってるんだよ!」


 ───オートマタ


 愛奈はそう言うと同時に、周囲に大量の人形が召喚される。


「固有属性のですか、愛奈ちゃんの固有属性を実際に見るのは初めてですね」


 響華はそう言い、笑みを浮かべる。


「いいでしょう、愛奈ちゃんの実力を見せてください!」


 響華がそう言った瞬間、人形たちが一斉に響華に襲いかかる。


「遅いですね、この程度なら……っ!?」


 ───マリオネット


 響華が襲いかかってくる人形たちの攻撃を避けようとした時、愛奈が何か呟く。

 すると次の瞬間、響華の身体を見えない何かが縛り付ける。


「これは……」

「響姉との実力差的にマリオネットの本来の効果は使えそうにない……だけど一瞬動きを止める程度なら出来る!」


 愛奈がそういうと同時に、人形たちが一斉に響華に襲い掛かる。


「人形たちの攻撃じゃ響姉にダメージを与えることは難しい、だけどこれはどうかな!」


 そう言ったと同時に人形が急激に光りを放ち始める。


「まさかっ!?」


 響華は攻撃を防ごうとしても、愛奈のマリオネットの効果で動けない。

 そして、


 ───ドカァァァン!!


 そんな凄まじい轟音と共に爆発が起こり、今度は逆に響華が壁まで吹き飛ばされる。


「や、やったかな……?」


 愛奈は爆発の中心に視線を向けてそう呟く。


「流石に今の攻撃は効きましたよ……」


 そんな発言と共に爆煙の中から響華が出てくる。

 その顔は先ほどよりも狂気的な笑みを浮かべていた。


「これなら私のを使っても大丈夫かもしれませんね」


 そう言って、響華は今手にある武器を空間収納にもどす。

 そして次の瞬間、響華からとてつもない威圧感が放たれる。


「この決闘に勝つための『凶器』を私の手に」


 その宣言と共に響華の手には、先ほどとは違う武器が握られていた。


「さぁ、続きをしましょうか」


 そう言うと同時に、響華の姿が消える。

 それと同時に愛奈の周囲にあった人形は全て壊されていた。


「えっ……」


(今……何が起きたの……?)


 愛奈は状況が理解できず混乱している。

 しかし響華がその隙を見逃すはずもなく、また愛奈に凄まじい威圧感が襲いかかる。


「遅いですよ?」


 ───ズガァァン!!


 そんな音と同時に愛奈は壁まで吹き飛ばされ、叩きつけられる。


「がっ……!」


 愛奈はあまりの一瞬の出来事に頭が追いついていなかった。

 だが、そんなことを考えているうちに響華がどんどん距離を詰めてくる。


「愛奈ちゃん、何か考えている暇はありませんよ?」


 響華はそう言って、再度攻撃を構えるのだった。

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