第31話 お持ち帰り

 コメント

 ・グッロ……

 ・マジでただの肉の塊になってるじゃん……

 ・ただただ怖い……

 ・何が怖いって、響華が触って何かしてるわけでも無く、独りでに体が壊れていって肉塊になっていってるところなんだよな……

 ・普通に怖すぎて草も生えないんだが……


 そんなコメントに見向きもせず響華は一人で恍惚とした表情でつぶやく。


「あぁ、なんて楽しく、面白く、興奮する戦いだったんでしょう!」


 そう楽しそうに、心の底から嬉しそうに言う響華。


 そんな楽しそうな響華のテンションとは対照的に、悪魔の体だったものは完全に崩れ去り、残っていたのは人の形をした肉塊だけになっていた。


 そんな肉塊の事など気にもせず楽しそうな響華だったが、時間がある程度経てば気分も落ち着いてくるもので、冷静になった響華はある一つの疑問に行きついていた。


(この悪魔の肉塊も持って帰って提出しなければならないんでしょうか?というより……)


「そういえば、悪魔ってドロップ型と討伐型どっちなんでしょう?」


 響華はその疑問を、口に出す。


 ・言われてみれば、悪魔って死んだらどうなるんだ?

 ・魔物じゃないんだったら、討伐型とかドロップ型みたいな感じで分類分けも出来ないだろうしな……

 ・確かに……

 ・一応肉塊が残ってるし、討伐型なんじゃない?

 ・まぁ、後で探索者協会が決めるだろうし、今は一旦放置でいいんじゃね?

 ・探索者協会、狂姫が地上に帰ってきたらやること大量にあって大変だな

 ・職員が発狂してそう……


「まぁ、とりあえず討伐型だったということにして、この肉塊も持って帰りますか」


 そう言って、響華は空間収納に入れようとしたのだが……


「あれ?入りませんね?」


 空間収納に入れようとしても何か壁があるかのように、跳ね返されてしまう。


 コメント

 ・うん?

 ・何してるんだ……?

 ・空間収納に肉塊が入らないとかあるのか……?

 ・よくわからん現象だな……


(悪魔という生物自体未知の生き物ですから、この謎の現象も仕方ないことなのでしょうか……?しかし、今後のためにも何とかこれを回収して、探索者協会に提出したいのですけれど……)


 そんなことを考えていると響華は何か思いついたのか、行動に移し始める。


「目の前の肉塊をミンチにするための『凶器』を私の手に」


 響華がそう言うと同時に響華の手には一本のハンマーが握られていた。

 そのハンマーはヘッドの部分に細かなギザギザが刻まれていて、肉を潰すのに最適な形状をしているハンマーだ。


 そんな響華は、自身の手に現れたハンマーを見て満足そうに頷く。


「これでこの肉塊をミンチに出来ますね」


 そう言って響華は悪魔だった肉塊に向かってハンマーを振り下ろす。


 コメント

 ・え?

 ・何やってんの!?!?

 ・いやいやいやいや!!??

 ・狂姫さん????何やってるんですかね……??


 コメント欄が困惑する中、響華は黙々と肉塊を潰していく。

 そして数分が経過した頃……


「これでよし!悪魔だった肉塊のミンチが出来ました!」


 響華はハンマーをどこかにしまいながら、そう宣言する。


 そんな響華の前には、ミンチにする時に飛び散ったであろう血と、ミンチにした肉塊の肉片が散らばり、まさに地獄絵図と化していた。

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