第35話 素材提出
響華は協会が用意した車に乗って移動し、そのまま探索者協会の本部に着いていた。
「着きました。こちらが探索者協会の本部になります」
そう言いながら、職員の人は響華に車から降りるように言う。
職員に促されるまま車を降りた後、響華は周囲を見渡す。そこにはとても巨大な建物があった。
東京ドームの2倍はあるであろう大きさだ。
「久しぶりに探索者協会の本部に来ましたね。Sランク探索者認定式以来でしょうか?」
響華はそんなことを言いながら職員に案内されつつ、協会の本部に入り、中を進んでいく。しばらく進んでいくと、探索者協会の解体部屋に通された。
その広さは他の協会の解体部屋とは段違いの広さで学校の体育館を2、3つ合わせたくらいの広さがある。
「ここに探索禁止指定ダンジョンで手に入れた未知の素材を全て出してください」
「わかりました。では、出していきますね」
職員の指示に従い、手に入れた素材を次々に出していく。
探索禁止指定ダンジョンで出てきた魔物が竜種ばかりだったので、広かった解体場もドンドン狭くなっていった。
「これで全部ですかね」
悪魔のミンチは車に乗る前に、協会の職員に事前に渡していたため、それはないが、それ以外の未知の素材は全てこの解体場に出し終えた。
「配信を見ていたので回収した死体が多いのは理解していましたが、これほどとは……」
響華が全て出し終わると、めちゃくちゃく広かった解体場は四分の三以上埋め尽くされており、これを見た探索者協会の職員は絶句していた。
「解体担当の人が見たら泡を吹いて倒れそうですね……」
職員はこれからこの死体の山を解体する人達を可哀そうに思いながら、そう呟く。
「それでは、これらの素材はこちらで回収させてもらいますね」
「はい。お願いします」
職員はおおまかに素材の確認を行うと、自身のカバンからタブレットを取り出し、何か操作し始める。そして一通り確認し終えたのか操作を辞め、職員は響華に向き直る。
「それでは、響華様はこれから探索者協会の会議室に向かっていただきます。そこで今回の回収についての報告をさせていただきますので、よろしくお願いします」
「了解です」
職員のその言葉に響華は頷く。
そして職員はどうやら他にしなければならないことがあるようで、ここでお別れのようだ。
「ここまでの案内ありがとうございました」
「いえいえ、それでは私はここで。またお会いしましょう」
職員はそう言うと、響華に一礼し解体場から出ていく。
「会議室に向かわないといけませんね」
そう言いながら、探索者協会の中を歩いていく。久しぶりとはいえ、ここには何度か来たことがあるため迷わずに歩く。
そしてしばらく歩いて行くと探索者協会の会議室であるであろう場所についた。ドアの上に付いているプレートには『探索者協会本部第一会議室』と書かれてある。
「ここですね、入りましょうか」
響華は第一会議室と書かれた部屋のドアをノックし、中にいるであろう職員に会議室の入室許可を得ようとする。
「入って大丈夫ですよ。今、ちょうど報告会の準備が終わったところですから」
部屋の中からそんな声が聞こえ、響華はドアを開けて中に入るのだった。
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2024年11月27日 00:00 隔日 00:00
「狂姫」と呼ばれたダンジョン探索者、全力で高みを目指し続ける~もう既に最強なんですが……?~ ハゲダチ @daiaqua
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