第9話 特殊な魔法

それから、数分間雑談しながら歩き、襲いかかってくる魔物を倒していると、ボス部屋の前に到着した。


「では、事前に決めていた通り私が出てくる竜種を相手するので愛菜ちゃんは攻撃しないでくださいね」

「わかった!⋯⋯あと分かってると思うけど戦ったことがある竜種が出てきたとしても瞬殺はしないでね」

「もちろんですよ、一応初配信なんですからそこは理解してます」

「わかってるならいいんだけど⋯⋯」


そうして響華と愛菜はボス部屋の中に入っていく。

そしてそのボス部屋の中に居たのは⋯⋯、


「水竜ですね⋯⋯」

「水竜だね⋯⋯」


水竜だった。


コメント

・被ったー!!!

・まぁ、俺らは初めて見るんだが

・竜とか上位の探索者でもないと見ないからな

・あからさまに狂姫のテンション下がってるやんけw

・ちょっと運が悪いな

・4分の2を外したか

・まぁ、これはしゃあない


「はぁ、被るのは予想していましたが、実際に被ると残念ですね⋯⋯」

「仕方ないよ、運が悪かったとしか言いようがないし」

「もう、水竜から学ぶことは何も無いんですけど……」


響華は残念と言わんばかりにガックリと肩を落とす。


「そういえば、竜種って確かに強いけど響姉が竜種から何か学ぶことなんてあるの?」


愛奈はそれが疑問に思い、響華に質問をする。


「もちろんありますよ、そうですね……ではこれを見ていてください」


───『水槍弾』


響華がそう呟くと同時に響華のそばに槍の形ををした水の塊が現れる。

響華はそれを水竜に向かって発射した。


そして水槍弾は水竜に直撃し、轟音とともにその水を辺りに飛び散らせる。


コメント

・音と威力ヤバくね?

・どうやったらこんな威力の魔法打てるんだよ……

・何か説明する流れだったのに、水竜殺してるじゃん

・瞬殺しないとは何だったのか……

・竜種だったら今のを耐えるんじゃない?

・それでも瀕死ぐらいにはなってるんじゃないのか?


「うわ~、今の一撃凄いね……ワンチャン水竜死んでるんじゃないの?」

「いえ、水竜をよく見てください」


響華がそういうので、愛奈と視聴者は水竜に目を向ける。

するとそこには、


!?」

「はい、そうなんです」


傷一つない水竜が堂々と立っていた。


コメント

・うっそだろおい!?

・竜種ってこんな強いの!?

・いくら何でも無傷はないだろ!

・今の魔法で無傷なんだったら、どう攻撃すればいいんだよ!

・竜種のことちょっと舐めてたわ……

・これどうやって勝つんだ?


「竜種ってそんなに防御力高いの?」

「いえ、そんなことはありませんよ、他の竜種だったら今の一発で死んでるか、死ぬ一歩手前ぐらいにはなるでしょう」

「じゃあ、水竜が他の竜種より防御力が異常に高いってこと?」

「そういう訳でもありません、竜種は普通の魔物とは違うを使うんですよ」

「特殊な魔法?それってどんな魔法なの?」


コメント

・特殊な魔法?

・そんな話聞いたことないんだが

・どんな魔法なんだ?

・っていうかそれを一人で判明させたのヤバくね?


愛奈が疑問に思って響華に訊ねる。


「その魔法の効果はその竜が司る属性の魔法をすべて無効化するというものです、魔法の名前はそうですね……『竜の加護』とでも言っておきましょうか」

「チートじゃん!……って言おうと思ったけどよくよく考えたらそこまで強くなさそう?」


一瞬、愛奈は強いと考えたが、冷静になって考えるとそこまで強くないように思えてきた。


「そうなんですよ、無効化するのはあくまでの魔法だけですから火属性や風属性の魔法などで攻撃すれば普通にダメージが入りますし、物理で斬り殺すことだってできます」


コメント

・説明助かる

・チートかと思ったけど、説明されてみれば確かにそこまで強くなさそう?

・まぁ弱くはないけど強くもないって感じなのかな?

・まぁ、竜種はこの魔法が無くても身体スペックが高いから竜種が強いっていう事実は変わらなさそうだけど


「それじゃあ結局竜種と戦ったとしても何も得ることが無さそうだけど?」

「いえいえ、そんなことはありませんよ、なぜならこの竜の加護を使ようになったんですから」




「え?」


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