第10話 水竜の加護
「使えるようになったって……誰が?」
「もちろん私がですよ、信じられないのなら見せてあげますよ」
そう言うと響華は水竜に向かって歩いていく。
水竜はそんな舐めた態度を取る響華に対してさっきのお返しだと言わんばかりに魔法を放つ。
「危ない!」
愛奈が響華の状況に危機を感じて咄嗟に声を上げる。
しかし、そんな愛奈の声に反して響華は冷静に手を前に向けると……
───『水竜の加護』
そう呟くと同時に、水竜が放った魔法が響華に直撃する。
だがやはり、
「魔力消費も少なくはないですが多い訳でもない、まぁそれなりと言ったところですね」
そこには先ほどの水竜と同じように無傷の響華が立っていたのだ。
コメント
・マジで今さっき説明してた魔法使えてるじゃん……
・もしかしたら今さっきの攻撃が直撃しても傷がつかないくらい狂姫の体が硬い可能性も……
・生身で今の攻撃耐えれるわけないだろw
・っていうか水属性の魔法くらったけど濡れてない時点で水竜の加護とかいう魔法が発動してるのは確定だろ
・俺らとは言葉の通り格が違うんだろうな
・Sランク探索者って、やっぱすげぇわ
「もう!私が返事する前に行かないでよ!ちょっと心配しちゃったじゃん」
「それはすみません、本当に使えるかの疑いを晴らすには実際に使用したところを見せるのが一番手っ取り早いと思いまして」
「それはそうかもだけど、次からは私が返事してからにしてね」
「わかりました、次からは気を付けますよ」
「それだったらいいんだけど……。それから『水竜の加護』っていうのを本当に使えるってことはもしかしてそれの火竜バージョンとかも使えたりするの?」
そう疑問に思ったことを響華に聞く愛奈。
その質問に響華は頷きながら答える。
「もちろん使えますよ、ですがまだ戦っていない風竜と土竜の加護はまだ使えないんですよね……。実際に戦えば使えるようになると思いますけど」
「なるほどね~、だから水竜が相手だとわかった時あんなに落ち込んでたんだ」
「そういうことです」
そんな会話をしている間にも水竜は響華と愛奈に向かって魔法を放ってくる。
「時間もそれなりに経ちましたし、もう殺しちゃっても大丈夫ですよね?」
響華は水竜の相手をするのが面倒になってきたのか、愛奈にそう訊ねる。
そして愛奈が「うん、大丈夫!」と返事をしたので、響華は空間収納の中から一本の剣を取り出すと、水竜が放ってきた魔法に向かって振るった。
すると水竜の放った魔法は、振るった剣によって真っ二つになった。
「終わりにしましょう」
響華はそう言うと一瞬で水竜との間合いを詰める。その動きは常人では消えたと錯覚するほどの速さ。
そして響華はそのまま水竜の首を切断した。
「相変わらず、早すぎじゃない?一応ギリギリ目で追えるけど……」
愛奈は響華の動きがギリギリで見えていたが、配信を見ている視聴者はただ響華が魔法を切ったと思ったら、水竜の首と胴体が分かれたとしか認識出来なかっただろう。
「やはり首を切るのが一番手っ取り早いですし、死体の状態もいい状態で持ち帰ることが出来ますね」
そう言いながら、響華は空間収納のスキルを水竜の死体を回収する。
コメント
・マジで動きが見えねぇな
・これって何かのスキルか魔法使ってるのかな?
・固有じゃなく、通常スキルだったらここまで身体能力が上がるスキルはないと思うが……
・じゃあ固有スキルでも使ってるんか?
・そうとしか考えられないけど
「ちなみに今の私の動きは、スキルや魔法による補正なしで行いましたよ」
響華はコメントに対してそう言うと、剣を空間収納のスキルへとしまうのだった。
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