第8話 配信開始

 配信の予定時刻になったので響華と愛奈は配信を始めていた。


「これ映ってる~?」


 コメント

 ・見えてるよ~

 ・映ってるから大丈夫

 ・本当に狂姫が居る……

 ・狂姫の隣にいる子誰だ?

 ・小学生にしか見えない子いるんだけど

 ・ちっさくない?

 ・ダンジョンって義務教育終えてからしか入れなかったよな?

 ・じゃあこの子が狂姫の後輩のAランク探索者なのか?

 ・とてもAランク探索者には見えないけど⋯⋯


「しっかり映ってはいるっぽいけど……」

「愛菜ちゃんが16歳を超えているのかと本当にAランク探索者なのか疑っている人が一定数いますね」

「Aランク探索者なのか疑われるのはまだわかるけど⋯⋯16歳を超えているのかを疑われるのは納得いかないんだけど!」


 そう不満を漏らす愛菜だったが、そう疑われるのも無理はない。

 なぜなら愛菜の身長は16歳女子の平均身長を大きく下回り、142センチという世間一般的に見ても低めの身長になっていた。そして顔も童顔なため小学生と間違えられるのも無理はないのだ。


 響華も初めて会った時、口には出さなかったが頭の中で「なんでダンジョンの中に小学生がいるのでしょう?」と考えていたほどだ。


「まぁまぁ、とりあえず落ち着きましょう?証明なら探索者カードを見せれば一発じゃないですか」

「それはそうだけど……」


 愛奈は納得がいかない様子だったが、渋々探索者カードを取り出しカメラに映した。


 コメント

 ・本当にAランク探索者なんだ……

 ・Aランク探索者よりこの見た目で17歳っていう方が信じられんわ

 ・ぱっと見、小学校高学年ぐらいにしか見えないんだよな

 ・皆もっとAランク探索者の方に驚けよw

 ・っていうか16歳のAランク探索者ってことは、史上最年少でAランクに昇格したことで一時期話題になった楠本愛奈じゃねぇか!

 ・確かに、16歳のAランク探索者って楠本愛奈しかいねぇじゃん!

 ・16歳でAランクって凄くね!?


「ほら見てください、コメントの皆さんも愛奈ちゃんが史上最年少でAランク探索者になった凄い人だって気づき始めてますよ」

「うぅ……なんか納得いかないけど、まぁいいか」


 愛奈もこのままテンションを下げたまま配信を続けるのは良くないと思い、納得はしていないが配信を続ける。


「今日はここ、竜の巣窟の最下層のボスを倒していくよ!……響姉が」

「一昨日と昨日で火竜と水竜は倒しているので出来れば土竜か風竜が出て欲しいですね」

「そこに関しては運だからどうしようもないけど、被らない方が配信的にも響姉の初見の反応が見れるからいいんだけど……」


 コメント

 ・やっぱり配信の内容はダンジョン攻略か

 ・既に火竜と水竜は討伐済みなのか

 ・愛奈ちゃんは戦わないんかいw

 ・まぁ、Sランク探索者に助けとか必要ないだろうしな

 ・明らかなる過剰戦力w

 ・Sランク探索者の初見の反応見てみたいな


「どうせでしたら4種類の竜が全員同時に出てくだされば運も関係なくなるので楽なんですが」

「もし本当に最下層がそれだったら多分ほとんどの探索者が勝てなくなると思うけど……」

「そうですか?愛奈ちゃんでしたら四体の竜種が同時に出てきたとしても勝てるんじゃないですか?」

「竜種と戦ったことが無いから分からないけど……余裕の勝利は無理なんじゃないかな?」


 愛奈はそう答えるが、余裕の勝利が出来ないと言っているだけで勝てないとは思っていないのだ。

 その時点で愛奈は自分の実力にそれなりの自信があることが予測できる。


 コメント

 ・話の次元が違いすぎるんだが

 ・普通の探索者は竜種が一体でも勝てないんですよ……

 ・普通のAランクの探索者は竜一体が限界じゃないのか……?

 ・時期Sランク候補と言われるだけあるな

 ・これは将来有望ですねぇ(白目)

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