第2話 Sランク探索者
響華が現在地を伝えると目の前の配信者らしき人は困惑したような声を出す。
「四十八階層?あ、もしかして冗談ですか?」
コメント
・現実逃避すんな
・まぁ、現実逃避したくなるのも分かるが……
・でもこの人が本当のこと言ってるのかもわからないし
・何か信用できる証拠があればいいんだけど
・何見せられても信用できねぇだろ
・美人が言ってることは信用出来る!
・アホだ……
「冗談じゃないですよ、これ見たら信用できますかね?」
何故か信用されてないようなので響華は自身の身分を証明してくれる探索者カードを取り出し、自己紹介をする。
「Sランク探索者の白崎響華と申します」
「Sランク!?」
コメント
・Sランク探索者!?
・日本に確か5人しかいないあの!?
・女性のSランク探索者って一人しかいなかったよな?
・ってことはもしかして
・二つ名とビジュアルが全く合っていないと言われてるあの!?
・やっぱりか
Sランクと書かれた探索者カードのおかげか相手はこちらの話を信じ始めた。
「ってことはもしかして、ここ本当に四十八階層なんですか……?」
「そうですよ、多分転移罠を踏んだんでしょうね、それでもここまで下の方に転移してくる人を見たのは初めてですが」
転移罠で転移する階層は階層が離れれば離れるほど飛びにくくなるので今回の事例のように八階層から四十八階層まで飛ぶようなことは滅多にない。
確率的にはほどんど宝くじ一等に当選するのと同等くらいの確率になっている。
それから少しの間、相手の方は呆然としていたようだがハッとなったようで響華に対して話しかける。
どうやら自己紹介もせずに、このまま話し続けるのもよくないと思ったようで目の前の女はお礼と一緒に自己紹介をする。
「紹介が遅れました!ダンジョン配信者をやってます、桜木椿と言います!今回は助けてくださりありがとうございました!」
そう言い、椿と名乗る女は深々と頭を下げる。礼儀はそれなりにしっかりとしているようで響華は感心する。
「別に大丈夫ですよ、あれくらいだったら手間にもならないので」
コメント
・Bランクの魔物が手間にもならないって……
・Sランク探索者は人間やめてるって聞いたことあるし……
・今回の軽い戦闘してる姿だけでそこらへんの探索者とは次元が違うってわかるしな
・まぁ、早すぎて戦闘してる姿全然見れてないんだがなw
・こっち視点はワイバーンの羽が消えたり、首が急に跳ね飛んだりしてただけだしな
・だけとは……?
響華の発言に椿は苦笑いを返した後、何かに気付いたように焦りだす。
「そういえば今更ですけど、今配信中なんですけど大丈夫でした……?名前とかもガッツリ出ちゃってますけど……」
響華の様子を伺いながら恐る恐るといった感じでそう聞いてくる椿。
「別に大丈夫ですよ、Sランク探索者になった時点で名前などは公開されてるので」
響華の返答に安堵する椿。
最近は何故かSランク探索者の数=その国の強さみたいな風潮が出来上がってるから、Sランク探索者の事は対外的にも認知させておきたいっていうのが政府の考えになっている。
(実際Sランク探索者VS普通の軍隊でしたらSランク探索者が圧勝するぐらいには力の差がありますからそういう風潮が出来るのも仕方がないと思いますが……まぁ、現実は軍隊の中にも探索者がいるでしょうから結果も変わってくるでしょうけれど)
コメント
・Sランク探索者のプライバシーが守られてねぇ……
・政府は何してんだ!
・政府の考えはよくわからん
・Sランクの探索者に手を出しても返り討ちに遭うだけだし……
・それでもプライバシーを守らない理由にはならないだろ
コメントが三者三様の反応を示していたので、このままでは不味いと思ったのか椿さんは空気を変えるために、響華に話しかける。
「そういえば、あのワイバーンの時の攻撃、あれどうやったんですか?」
「ん?ただ切っただけですけど?」
「いやいや、あの時のワイバーンって結構高い位置にいましたよ?」
「距離があっただけじゃないですか、それぐらいだったら普通に攻撃は届きますよ」
コメント
・物理法則どこいった?
・まぁ、Sランク探索者だし物理法則ぐらいは……(震え)
・大体の事がSランク探索者だからの一言で済むのバグだろ
・Sランク探索者の存在自体がバグみたいなものだし……
「Sランク探索者ってやっぱり凄いんですね……」
若干引き気味にそう答える椿さん。
「いえ?別にこれぐらいだったらAランクの方々でも出来る人はいると思いますよ?」
「え?」
「私の知り合いのAランク探索者の人もできますし、多分あなたもその内出来るようになると思いますけれど」
(見たところ今はCランクよりのDランクぐらいでしょうけど、命を懸けて戦い続ければ一年ぐらいでAランクにはいけるぐらいにはポテンシャルがあると私は思いますけどね)
コメント
・椿ちゃんもいずれこのレベルになってしまうのか……
・椿ちゃんが強くなるのはシンプルに嬉しい
・それに強くなれば今回みたいな事態にも対処できるようになるだろうしね
・椿ちゃんのポテンシャルすげぇな
・椿ちゃんにはこれからも元気に配信してほしいからな!
(まぁ、命を懸けなくてもBランクにはその内いけそうですから何も言わないでおきますか)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます