第19話 第一階層

 そしてしばらく探索をしていると、当然魔物に遭遇するのだが、


「ワイバーンとしか出会いませんね……。最近は竜の巣窟によく潜っていたせいでワイバーンの相手は正直飽きてしまっているのですが」


「それに弱いですし……」と響華は付けたし、呟く。


 コメント

 ・ワイバーンも結構強い魔物なんだがな……

 ・片手間に倒されていくワイバーンに涙を禁じ得ない

 ・ワイバーンがめちゃくちゃ雑魚に見えてくるわ

 ・っていうか、一階層目からワイバーンが出るってヤバくね?

 ・ワイバーンって竜の巣窟の後半の階層から出てくる魔物でしょ?

 ・そう考えたらこのダンジョン結構えぐいな…

 ・探索禁止指定ダンジョンってやっぱり凄い……


「とりあえずこの一階層目はワイバーンしか出てこないようですからもう飛ばしちゃいますね」


 そう言うと同時に配信の画面がブレる。


 コメント

 ・は?

 ・え、何が起きたの?

 ・何が起きたかさっぱりわからん……

 ・カメラしかっり仕事しろ!

 ・カメラの性能が良くても多分俺らの動体視力で狂姫の動きを捉えられるとは思わないが……


 響華は視聴者が困惑している間にも動き続け、また配信に画面が映る。その画面に映っていたのはワイバーンを瞬殺している響華の姿だった。


「はい、という訳でダンジョン一階層目クリアです」


 そうして話す響華の後ろには蹂躙されたワイバーンの死体の山が広がっていた。


「一応、別の魔物がいるかもしれないと思いましたので、この階層の隅々まで見て回ったのですが、本当にワイバーンしかいませんでしたね」


 コメント

 ・どんなスピードしてるんだ?

 ・スピードに目が行きがちだけど、ワイバーンをワンパンで倒すパワーも普通にやべぇからな

 ・というかホントにワイバーンしかいなかったんだな

 ・まだ一階層目だしこんなもんなんじゃないの?

 ・探索禁止指定ダンジョンだし、普通のダンジョンとは違うんだろうな


 コメント欄では響華の強さに対する感想だったり、このダンジョンに対する感想だったりといろいろな感想が飛び交う。


 響華はそのコメントを横目に見つつ、歩きながら喋りだす。


「とりあえず、一階層目にもう用は無くなったので二階層目に行きますね」


 響華はそう言いつつ、二階層目に進む階段を下っていく。


「それにしても一階層目からワイバーンですか……。これから出てくる魔物にはかなり期待できますね」


 コメント

 ・期待できるとは……?

 ・でも確かにダンジョンって基本的に下に行けば行くほど魔物も強くなっていくし一階層目でワイバーンが出たことを考えると……

 ・二階層目では一体何が出てくるか……

 ・狂姫は最後まで攻略できるのかな?

 ・まずこのダンジョンが何階層まであるのかによると思うが


 コメント欄に書かれていた疑問が目に入った響華はそのコメントを拾い反応を示す。


「確かにこのダンジョンは何階層まであるんでしょうね?このダンジョンに関する情報が少なすぎて何もわからないんですが……。」


 響華はこのダンジョンを楽しむために事前に情報は何も調べずに来ている。そのためそんなことを響華は疑問に思ったのだが、


「まぁ、このダンジョンを攻略すればわかることですね」


 そう言って響華はドンドンと進んでいくのだった。




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