第20話 第二階層
「二階層に着きましたね」
コメント
・お、二階層目だ!
・雰囲気はあんまり変わらないな
・いったい、どんな魔物が出てくるのか……
・一階層目でワイバーンだからなぁ
・でも、正直どんな魔物が出てきたとしても狂姫ならワンパンで倒しちゃいそうな気がするわ
・確かに、狂姫が苦戦している姿を想像できない……
コメント欄にはこれから現れる魔物への期待や今までの階層で出てきたワイバーンのような魔物だったら響華はワンパン出来そうだとそんな感想が並ぶ。
そんな視聴者の感想を見た響華は、
「確かにワイバーンでしたし、これまでの階層では特に苦戦することなく倒せて来ましたからね」
そう言って少し考えた後、続ける。
「ですが、ここは探索禁止指定ダンジョンですし、そう簡単にはいかないと思いますよ」
コメント
・なるほど……
・確かに今までは魔物が弱くて楽勝だっただけでダンジョンとしては未知数だからな……
・でも狂姫なら案外簡単に攻略するんじゃないか?
・それはそう
「まぁ、とりあえず二階層目の探索をしていきますね」
そう言って響華はまた歩きだす。
そしてしばらく歩いていると、魔物と遭遇したのだが……
「えぇ、火竜じゃないですか……もう良いんですけど。竜の巣窟で出てくる魔物以外と戦いたいんですがね……」
コメント
・また竜の巣窟で出てくる魔物じゃんw
・狂姫がちょっと可哀そうに思えてくるわ
・でもワイバーンとは違って火竜は最下層のボスだったじゃん
・それがボス部屋でもないのに普通に出てくるってことは……
コメントにそう書きこまれるのと同時に、水竜、土竜、風竜の三体が火竜の後ろからやってくる。
「火属性メインのダンジョンだと思ってましたが、他の属性の敵も現れるんですね」
コメント
・四種類の竜種が全員揃うと圧巻だな
・竜種は全員は最下層のボスだった魔物だから弱いわけがないし……
・普通にこのダンジョンの魔物も強いぞ狂姫……
・狂姫だから心配はしてないが頑張れ!
「応援される程の相手でもないと思いますが……」
そうコメントに返事をした響華は火竜に近づく。
「とりあえず、さっさと倒しちゃいましょう」
そう言って響華は自身の固有スキルである『凶器の具象』を使う。
「目の前の敵を殲滅するための『凶器』を私の手に」
そういうと同時に響華の手に武器が握られる。今回響華の手に握られた武器は一丁の対物ライフルだった。
響華はその対物ライフルを構えると、すぐに発砲する。
そしてその弾丸は正確に一体目の水竜に着弾し、その体を貫通する。普通の対物ライフルであれば、それで終わりだがその銃弾は響華の固有スキルによって生み出されたこの弾丸は違う。その弾丸は水竜の体を貫いた後、物理法則を完全に無視したかのような動きになり、そのまま火竜、土竜、風竜の体をその一発の弾丸が完全に貫いた。
コメント
・え?は?
・何が起きたんだ……?
・何そのライフル!?
・弾丸の軌道明らかにおかしくなかった!?
・なんか水竜の体を貫通したと思ったら、そのまま曲がって他の竜種の所に行くし……
・原理が一切わからん!
そのコメントに響華は反応する。
「これは私の固有スキル『凶器の具象』によって作られた私専用の武器です。武器の種類はその時の状況によって変わるので銃専用って訳でもないです。竜種に使う必要もなかったんですが、これから使うこともあるでしょうし、先に見せておこうと思いまして」
コメント
・固有スキルか……
・まぁ、普通の武器な訳ないよな
・狂姫の固有スキル見れるとかめっちゃレアじゃね!?
・固有スキルの紹介のために殺された竜達が哀れに見えてくるわ……
「とりあえず、この階層はこの武器だけで終わらせますね」
そう言って、響華は対物ライフルを片手に歩き出すのだった。
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