第27話 弱い
「簡単に死なないでくださいよ!」
そんな声と共に、響華が刀を振るう。その攻撃は先ほどのものよりもさらに速く、鋭いものになっていた。
「痛いな~!やめてよ!」
そんな風に子供っぽい発言をしながらも、悪魔は響華の攻撃を躱し続ける。その悪魔の避ける速度は常人では目で追うことなど出来ないであろうスピードだ。
そんな速度で響華の攻撃を避けていた悪魔だったが、最初はなんとか反応出来ていた攻撃も、悪魔の動きが徐々に悪くなってしまい、ところどころ攻撃が掠り始める。そしてついに耐え切れずにその一撃が直撃してしまう。
「グハッ!?」
その一撃は悪魔にとってかなり痛かったらしく、思わず悲鳴を上げる。しかし、響華の攻撃はまだ終わっていない。そのまま追撃を食らわせるように攻撃を続けていく。
「ゴホッ!」
コメント
・かなり一方的な展開だな
・悪魔がずっとボコボコにされてるしな
・悪魔が強いのはわかるんだけど……
・正直、竜王の方が強そうに見えるな
・実際、竜王の方が強いんじゃね?
・竜王が強すぎたのか?
・竜王の後に出てきたから、流れ的にもっと強いのかと思ってたんだけど……
・まぁ、弱いほうが人類にとってはメリットだから良いことなんだけどな
コメントではそんな風に悪魔に対するコメントが書かれていく。
その間にも配信画面では響華の攻撃が一発、もう一発と、悪魔に叩き込まれていく様子が映し出されている。
だが、響華の攻撃を食らうたびに悪魔は苦しそうに声を上げるが、悪魔の何らかの能力によって、響華が付けたはずの傷が消えていく。
しかし、戦況を支配しているのは響華であることに変わりはない。悪魔の傷が無くなった途端にまた一発と攻撃を入れる。
このまま行けば響華が勝てると誰もが確信していた。
だが、響華はそんな状況に違和感を覚えていた。
(この悪魔、何か変ですね……。最初、私に攻撃してきたときは、こんなに遅くありませんでしたし……)
そしてもう一つ、響華が違和感に覚えることがあった。むしろこっちの方が違和感が強かった。それは……
(私が付けた傷ですが、再生している感じがしませんね……。再生しているというよりは、突然傷が消えているような、そんな感じがします)
響華はそんな違和感を覚えながらも、悪魔に対する攻撃は緩めない。
そしてとうとう響華の攻撃が悪魔に直撃する。
「ガハッ!?」
そんな言葉と共に、響華の攻撃によって吹き飛ばされていく悪魔。そしてそのまま壁に衝突し、地面へと倒れこむ。
コメント
・うわ……モロに入ったな
・これは流石に死ん……でないか
・再生力だけは凄いな
・再生力以外も一般的に見れば、相当高水準なんだけど……
・相手が狂姫だからなぁ……
・かなり深手負ったんじゃないか?あの攻撃なら
・でも、今の一撃で付けた傷も再生されそうだし……
・めちゃくちゃ長期戦になりそうだな……
・でも勝てそうで良かった
・響華が負けるとか洒落にならんからな
そんな風にコメントがこの戦闘が長丁場になること予想しながらも、響華の勝利を確信していたその時……
「ガッ!?」
突如、血を吐きだした。
響華が。
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