第24話 竜王討伐

「流石にこの攻撃は効いたみたいですね」


 響華は自分の攻撃によって飛んでいった竜王に目をやりながらそう言う。実際、竜王の体はそれなりに傷ついており、ところどころ体に張り付いていた鱗が剝がれている。だが、それでも竜王の命脈を止めるまでには至ってない。


「まぁ、この程度で終わられても困りますが」


 そう言って響華は再び竜王に向かって駆け出す。そして今度は竜王の目の前で一気に跳躍し、そのまま竜王に向かって蹴りを放つ。

 しかし、その攻撃はギリギリの所で避けられてしまう。だが、完全に避けきれた訳ではなく、完璧に避けることが出来なかったのだろう。蹴りが直撃した部分の鱗が剝がれ落ちている。


「確実にダメージは蓄積されてますね」


 コメント

 ・流石狂姫!強すぎる!

 ・それに結構一方的な展開だな

 ・二,三階層に居たやつらと違って一発で終わってないからそれなりに強いのはわかるんだけど……

 ・それでもまだ狂姫の方がかなり上っぽいな……


「そうですね、まだまだ行きますよ」


 そうコメントに返しながら響華は竜王に向かって走っていく。そして今度は竜王が攻撃する番だった。竜種は基本的に自身が司る属性の魔法を使うか、つい先ほど竜王がした尻尾による攻撃みたいな物理攻撃の二パターンに分かれている。

 そして竜王は一度、後者の物理攻撃をし、失敗したため今度は前者の魔法を使おうとしていた。


「させませんよ」


 しかし、竜王が魔法を使う前に響華は竜王に追撃する。竜王が再び、切断され短くなった尻尾で攻撃してくるが、響華はその攻撃を躱し、竜王の足に向かって刀を振り下ろす。そしてそのままその足を切断しようとする。


 しかし次の瞬間、響華の立っている地面が吹き飛ぶ。それは竜王の攻撃だった。そして続けざまに竜王は魔法を放つ。そしてその魔法の属性はどれもがバラバラだ。基本四属性の魔法もあれば、三階層目で見た竜種達の属性の魔法もある。


「なるほど、これが竜王の魔法ですか」


 コメント

 ・全属性の魔法使えるってマジ?

 ・やってること普通にやべぇな

 ・狂姫だから大丈夫なだけで他の探索者だったら逆にこっちが瞬殺されるだろこ れ

 ・まぁ、普通の探索者だったらここに来るまでに道中の魔物に殺されてるだろうが……

 ・狂姫が異常すぎるんだよな……


「確かに凄いですが、当たらなければ無意味です」


 そう言って響華は竜王の放つ全属性の魔法に対して全て対処していく。そしてその隙に竜王は再び尻尾で攻撃しようとするが……


「それはもう何度も見ました」


 そう言って響華はその攻撃を刀を使って受け流す。そしてそのまま、竜王の懐に入り込み、鱗が剥がれている部分に刀を突きさす。


(これではまだ致命傷ではない、それは分かっています。ですがこの刀は私がスキルによって生み出した刀。当然ただの刀ではありませんよ)


 響華はそう考え、そのまま刀に魔力を流す。そして次の瞬間……


 ─────ドカァァァン!!


 竜王が内側から爆発した。その爆発の威力は凄まじく、半径数十mにも渡って全てを吹き飛ばす。そして爆煙が晴れたその場所には、ピクリとも動かなくなった竜王が倒れ伏していたのだった。

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