第25話 第五階層
「終わりましたね」
コメント
・火力ヤバくね?
・カメラに攻撃自動回避機能付いてなかったらカメラごと爆発してたぞ
・あの火力で原型留めてる竜王君もおかしい気がするけど……
・まぁ、流石に死んだっぽいが
・あんな攻撃耐えれるわけないだろ!
・外からの攻撃だったら鱗とかあるしワンチャン耐えれたかもしれないけど、内側からの爆発だろ?
・それに加えてあの火力……、竜王が可愛そうに思えてくるな
「とりあえず、この死体もダンジョンを出れば協会に提出しないといけないでしょうし、回収しておきましょうか」
そう言って響華は竜王の死体を空間収納のスキルを使い、回収する。そして再び探索に戻る。
「奥に階段がありますね、まぁ四階層で終わるほど、このダンジョンは浅くはないと思っていましたが」
そう言って響華は下の階層に向かって進みだす。そして五階層目に差し掛かった時、
「?」
響華の目の前に人が立っていた。その容姿は男だったり女だったり、子供だったり大人だったりとかなり歪だった。性別が一定ではなく、種族も一定ではない。そんな歪な存在が響華の目の前に立っていたのだ。
コメント
・なんだこいつ!?
・なんか……やべぇな
・もしかしてこいつが五階層目のボスか?
・覇気みたいなのは竜王とかの方があったけど……
・なんていうか……異質だな
「ねぇ……」
その歪な存在が何かを言おうとした瞬間、そいつが急に消える。
「!?」
コメント
・何だ、急に!?
・消えた?
・何が起こった?
・逃げたのか?
・いや、違う!上だ!!
響華は咄嗟にその場から飛び退く。そして次の瞬間……
─────ズドォォン!!!
そんな轟音と共に、その歪な存在の拳によって地面が激しく抉れる。そしてその攻撃はそれだけでは終わらない。その歪な存在は地面に着地すると同時に、次の攻撃を放つ。
(速く、そして攻撃も重い。かなり強いですね……)
響華は冷静にその攻撃を分析しながら、迫りくる攻撃を躱しつづける。そうしているといきなりそいつが攻撃を止め、響華から距離を取った。
「君、強いんだね」
コメント
・喋った?
・魔物って喋れるのか!?
・喋れる魔物とか聞いたことないぞ!?
・それかこいつが魔物じゃないとかか?
・こいつが魔物じゃなかったら何なんだよ!
響華に向かってそう聞いてくる歪な存在。その声や容姿に性別は無く、まるで無数の子供の声を合成したような声だった。そしてそれは何者に対しても平等に無関心である探索者協会の職員であっても思わず顔をしかめるであろうほどの声だ。
「私ですか?私は響華。白崎響華です。二つ名では狂姫とも呼ばれていますね」
響華はその歪な存在の質問にも律儀に答える。そして歪な存在の聞けば気分の悪くなるような声を聞いても響華の顔色は一切変わらない。
「白崎響華ね……覚えたよ。人間にもこんなに強い奴がいるんだね」
「そういうあなたは一体誰……というか何なんです?」
響華は歪な存在に対してそう質問をする。すると、その歪な存在は先ほどよりも少し声を弾ませながら、
「僕?僕はね……まぁ、しいていうなら『悪魔』ってところかな」
と、そう言葉を放つのだった。
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