第16話 探索禁止指定ダンジョン
響華と愛奈が医務室から出ると、協会長が扉の近くで待っていた。
「狂姫、お前から頼まれてたあの話について進展があったぞ」
協会長がそう言うと響華が嬉しそうに笑う。
「本当ですか!ずっと楽しみにしていたんですよ」
そう言って詳しく話をするために奥の部屋へと向かう響華と協会長。
「愛奈ちゃんすみません、今日はここでお別れです」
「別に大丈夫だよ、またね!」
愛奈はそう言って決闘場から出ていく。
そうして響華と協会長は愛奈と別れて奥の部屋へと向かった。
◇
「それで『探索禁止指定ダンジョン』に入る許可が出たんですか?」
『探索禁止指定ダンジョン』
それはそのダンジョンが危険すぎるため、協会によって立ち入りを禁止されたダンジョンである。
そうして協会長に勢いよく詰め寄る響華。
響華はかなり前から探索禁止指定ダンジョンに入らせるように政府に探索者協会を通して頼んでいた。
そしてついに、進展があったということで響華はかなりテンションが上がっていた。
「一旦落ち着け、話はそれからだ」
「す、すみません……」
協会長にそう言われ、響華は落ち着きを取り戻す。
そしてゆっくりと深呼吸をする。
「ふぅー……」
そうして落ち着いた後、話を再開する。
「それで探索禁止指定ダンジョンに入る許可は出たんですか?」
そんな響華の質問に対して協会長は首を縦に振る。
「ああ、出たぞ」
「本当ですか!」
響華は普段のイメージとは違って目をキラキラさせながら言う。
そんな響華の反応少し呆れる協会長だったが、それを気にせず話を続ける。
「ただし、条件が付いた」
「条件……ですか」
条件という言葉を聞いて少し落ち着く響華。
「あぁ、探索禁止指定ダンジョンに入るためには二つの条件がある」
「その条件とは?」
「まず一つ目、探索禁止指定ダンジョンで獲得する未知のアイテムは全て研究機関に提出すること」
「未知のアイテムを研究機関にですか……まぁそれはいいですけど」
響華は出てくるアイテムには一切興味が無く、興味があるのは出てくる魔物だけなためこの一つ目の条件を飲んだ。
「それで二つ目の条件は?」
「二つ目の条件だが、探索禁止指定ダンジョン内では、常に配信をすることだ」
「えっ……?配信ですか?」
響華は思ってもいなかった言葉に思わず聞き返してしまった。
そんな響華に対して協会長は話を続ける。
「そうだ、探索禁止指定ダンジョンに潜っている間の配信を行えという指示が出た」
「いや……私としては構いませんけどどうしてです?」
響華が協会長にそう問いかける。
「なんでも外国に自分たちのSランク探索者はこんなに強いんだぞ!って見せつけたいらしい」
「まぁ、私は別にどう思われても気にしませんけど……」
響華は協会長に対して少し呆れた様子で言う。
「配信するアカウントはお前が初配信したアカウントで良いそうだ。……探索者協会のアカウントは人気がないからな」
協会長は響華に聞こえない声でそう呟く。
「なるほど……、あとどこの探索禁止指定ダンジョンに入ってもいい許可が出たんですか?」
響華はまだ聞いていなかったことを協会長に問う。
日本には四つの探索禁止指定ダンジョンがある。
『禁断』
『牢獄』
『地獄』
『冥界』
今回はどれに入る許可が出たんだろうと響華が疑問に思っていると、協会長がそれを口にする。
「今回許可が出た探索禁止指定ダンジョンは『地獄』だ」
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