第17話 再会

「『地獄』ですか……確か、当時勢いのあったSランクのパーティーが全滅したことが原因で探索禁止指定ダンジョンになったところですよね?」

「あぁ、そうだ」


 響華の問いに対して肯定する協会長。

『地獄』は探索者協会の四大探索禁止指定ダンジョンの一つで、難易度はかなり高い。

 Sランクパーティーが全滅したと言うこともあってその強さは折り紙付きである。


 ちなみにSランクパーティーというのはSランクの探索者がパーティーを組んでいるという訳ではなく、パーティー全体でSランクの基準を超えているということである。


(そんなところに入れるなんて……嬉しい限りですね)


 響華はそう思いながらも、協会長に探索者カードを渡す。


「とりあえず『地獄』に入れるように手続きをしておくから明日探索者カードを取りに来い」

「わかりました」


 響華は協会長にそう返事をする。


「じゃあ、失礼します」


 響華は協会長に挨拶をしてそのままこの場を去るのだった。



 ◇


「さて、どうしましょうかね……」


 響華は探索者協会の建物から出て、歩きながら考える。


(配信の設定もできなければトゥイッターで配信することを宣伝することも私には出来ないですね……どうしましょうか……愛奈ちゃんを別れた後にもう一度呼ぶのも申し訳ないですし……)


 そんなことを考えながら歩いていると、


「あれ?響華さんじゃないですか!」


 そんな風に声をかけられる。

 そちらの方に視線を向けるとそこにいたのは、響華が以前転移トラップを踏んで死にかけていた所を助けた桜木椿だった。


「こんなところで会うなんて奇遇ですね!」

「そうですね、お久しぶりです椿さん」


 そんな会話をした後、響華はふと思い出す。


(椿さんって確か配信者でしたよね……でしたら)


「椿さん、一つお願いがあるんですけどいいですか?」


 響華は椿に向かってそう切り出す。


「はい!私に出来ることならなんでもしますよ!」


 椿は前に助けられた恩を返すことが出来るとあって、とても嬉しそうにしている。


「実は私、探索禁止指定ダンジョンにこれから潜ろうと思ってるんですけど……」

「え?探索禁止指定ダンジョンですか!?」


 椿は驚いたように言う。


「はい、そこで配信をしようと思ってるんですけど……」

「それ私に言っても大丈夫な奴ですか?」


 椿はそのやばそうな情報にそう心配そうに聞く。


「全然聞いても大丈夫な情報ですよ、拡散したいくらいですし」

「そうなんですか?」

「はい、そこで椿さんにお願いなんですが、配信の設定と私のトゥイッターで配信することを発信して欲しいんですが……」


 響華は椿にそうお願いをする。


「?響華さんが自分でした方がいいと思いますけど……」

「私、機械関係苦手なんですよ……」

「なるほど……そういうことならわかりました!任せてください!」


 椿は納得したようで、元気よく返事をする。


「なんなら設定のやり方も私が教えますよ」

「それはありがたいんですが、いいんですか?」

「はい、大丈夫です!響華さんは私の恩人なんですから!」


 椿は笑顔でそう言う。

 そうして響華と椿の二人はトゥイッターで配信の設定をするのだった。

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