第15話 魔力操作技術
そうして響華と愛奈の決闘は終わった。
その後、医務室にて愛奈は治療を受けていた。
「いてて……」
愛奈は少し苦しそうにしながら呟く。
「愛奈ちゃん、大丈夫ですか?」
そんな愛奈を響華が心配そうに見つめている。
「うん、大丈夫だよ」
愛奈は笑顔でそう答える。
「それなら良かったです」
そんな愛奈の様子を見て響華も笑顔になる。
「それにしても、今回は負けちゃったな……」
「愛奈ちゃんならすぐに強くなれますよ」
「そうだといいんだけど……」
響華は愛奈の言葉を聞いて励ます。
「今回の決闘でわかったのは私の基礎スぺックが足りないってことかな……」
「いえ、基礎スペックでしたら今のままでも十分だと思いますよ?」
そんなことを言う響華。
「え?いやいや、そんなことないでしょ、今回の決闘で負けた原因の内の一つに響姉との破壊力とスピードの差が大きかったって言うのもあるから……」
そう言って響華の言ったことを否定する愛奈。
「あぁ……確かに今回の決闘では私のほうが圧倒的に身体能力が高く見えたでしょうね。確かに素の身体能力も私の方が上ですがその差は今回の勝敗を分ける程の差ではありません。基礎スペックで言ったら魔力量では私は愛奈ちゃんに負けてると思いますよ?」
そう言って響華は愛奈に言う。
「愛奈ちゃんに足りないのは魔力操作技術じゃないですかね?」
「魔力操作技術……私結構自信あったんだけど……」
「確かに配信の時の私の動きを捉えられてますから、そこそこ技術があるのはわかります。でもそれだけでは足りません。全身に魔力をめぐらせている時にかなり無駄があるように見えました」
響華は愛奈に向かってそう言う。
魔力を単純に体中に巡らせるだけでも、一般人よりも遥かに高い身体能力を手にすることは出来る。だが、単純に巡らせるだけでは必ず無駄が出る。その無駄が無くなれば無くなるほど、身体能力はドンドン高くなる。
響華の魔力操作技術は世界でもトップクラス……というかトップと言っても差し支えないレベルだ。
だからこそ響華はあれだけのスピードと破壊力を出すことが出来たのだ。
「魔力操作技術を鍛えるのと固有属性のバリエーションももっと増やす、それをするだけでSランク探索者になれると思いますよ」
「まだいろんな『人形』があったんだけど、響姉のスピードと魔力抵抗のせいで全然使えなかったんだよね……」
「その程度で使えなくなる技だったら必要ないと思いますよ」
「辛辣……」
愛奈は苦笑いをしながら言う。
そんな愛奈の様子を見て、響華は笑うのだった。
(でも……)
響華は思う、
(愛奈ちゃんはまだ強くなれる、固有属性のバリエーションをもっと増やせばSランク探索者上位だって夢じゃない。そしていつかは私すらも……)
それを想像するだけで笑みがこぼれる響華。
そして、そんな響華を見て愛奈は、
(なんか……すごく嫌な気配がする……)
内心そんなことを思うのだった。
「じゃあ、そろそろ帰りますか」
「私は怪我で帰れないんだけどね」
「いや、帰れますよ」
響華はそう言って空間収納から最上級のポーションを取り出す。
「これ、敵が良く落とすんですけど普段怪我しないですから使い道がないんですよね」
そう言って響華はそのポーションを愛奈に飲ませる。するとみるみると怪我が治っていった。
「ポーション持ってるんだったら先に言ってよ!」
愛奈は少し怒ったように言うのだった。
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