大学を…編 3


「スターライトから抜けて欲しいって言われて、言い返したかった。だけど、そう思うのも無理もないって思った」


「純怜、」

「それに、私の事を嫌いでも別に構わないって前にも言ったから」


胸が締め付けられるような思いだった。


私だって悔しい。


だけど、自分の意思を曲げたくない。


嫌いなら嫌いのままでいいって本気で思ってる。ただ一度でいいから、真剣に私のことを見て欲しいだけ。


「でも、それと暴力暴言はまた話しは別でしょ」

雄大お兄ちゃんが強く言った。


その言葉に少し救われた気がした。


「そうだけど、」

私はためらった。


確かに、痛いのも、傷付くのも嫌だけど、それで相手の気が済むならってずっと思ってた。


「それに純怜がずっと傷つくのは嫌なんだ」

雄大お兄ちゃんが優しく言った。


その優しさに涙が出そうになった。


そっか。


私が一番、自分のことを大事にしていなかったんだ。


「ていうか、相手を黙らせる方法なんていくらでもあるだろ」

突然、天馬兄の声が聞こえてきた。


「天馬兄!」


いつからいたの…!

全く気づかなかった。


「悪い、話は聞かせてもらった」

「それはいいんですけど、」


相手を黙らせる方法って…


口封じってこと、?


「天馬!なんて物騒なこと言うんだよ!」


「どんな勘違いしてるか知らないけど、そういう事じゃないですよ、」

と天馬兄が笑った。


なんだ、良かった、

私も変なこと想像してた。


「それってどういうことですか?」


「今の時代、力を使わなくたって戦い方は沢山ある。例えば…」


それで、話し合った結果、録音して身を守ることになったのだ。


「私の事が嫌いならそれでもいい。ただ、こんなやり方は間違ってるって思わない?」


私はもう何も怖くない。


私には味方がいるから。


「何?説教してるつもり?」

ここで引き下がるわけにはいかなかった。


少しでも分かってもらえればいい。


「そういうつもりじゃなくて、」


「じゃあ何よ」

「ただ、何も行動せずに我慢するだけは、そうじゃなくても逃げてることになると思っただけ。…それに、一番大事なのは自分自身だから」


私は冷静に言った。


ファンのことももちろん大事だ。

だけど、それ以上に自分のことも大事にする。


もう逃げない。


「はいはい、もういいです〜あんたと関わらなかったらいいんでしょ?私だってあんたなんかと話したくないし、むしろ好都合だわ」


と彼女は最後に言い放った。



最後の最後まで彼女に分かってもらうことは出来なかったけど、どこかスッキリしていた。

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