女の子の日…編 1
月に一度くる女の子の日。
私以外はみんな男性で、どれだけ辛いものなのか、分かってもらえない。
もちろん理解してくれようと頑張ってくれているのも見てわかるけど、それでも辛いものは辛い。
「っ、」
ダンスの練習中、痛すぎて思わず動きを止めてしまった。
「純怜大丈夫…?」
智哉兄が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫です、」
私は無理に笑顔を作って答えたけど、痛みは隠せなかった。
「辛いよね」
智哉兄が優しく言った。
「迷惑かけてごめんなさい」
私はすごくお腹が痛くなるタイプで薬を飲まないと苦しくなって、一日動けない。
酷い時は薬を飲んでもマシにならない。
だから、いつもならちゃんと飲むんだけど、今回はダンスの練習が忙しくて、忘れてた。
「純怜、顔色悪いみたいだけど…」
雄大お兄ちゃんが心配そうに言った。
「大丈夫です。すみません。もう一度お願いします」
「純怜」
何を言われるか分かってた。
「もう一度お願いします」
「ちょっと休んでおいでよ」
やっぱり。
「いや、ほんとに…んっ、」
嘘を突き通そうとしたけど、痛すぎて声が出た。
ただでさえ追いついてないのに、一日休んだりしたら、もっと差が開いてしまう。
「あれの日でしょ?先月も苦しんでたの知ってるよ。横になれば少しは楽になるんじゃないかな、」
「だけど、練習が…」
私はためらった。
「こんな状態でやっても身につかないって自分でも分かってるでしょ?とりあえず今は安静にしとかないと」
「分かりました…」
私はしぶしぶ答えた。
「えらいえらい、休憩室まで一人で行ける?」
「はい。大丈夫です」
私は答えたが、内心では不安だった。
この時間でも、本当はもっと上手くなれたのに。
「そっか、ダンスのことは気にしないでゆっくり休むんだよ」
「はい、ありがとうございます」
私は、休憩室に向かって歩き出した。
ベッドに寝転んだとき、ノックがなった。
「純怜、大丈夫…?様子見に来たんだけど、」
陽向くんが部屋に来てくれた。
「迷惑かけてすみません」
「全然迷惑じゃないよ。しょうがない事だから、気にしなくて大丈夫」
陽向くんが優しく言った。
「ありがとうございます、」
「早く良くなってダンスの練習しようね」
陽向くんが励ましてくれた。
「はい」
「じゃあ俺は行くからゆっくり休むんだよ?」
「はい、ありがとうございます」
なんだか人肌恋しくて、だけど、練習の邪魔したらだめだし。
ただ寂しいからっていう理由でそばにいてもらうのはどうなんだろう…。とか深く考えてたら孤独感が増していった。
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