女の子の日…編 2

「純怜〜雄大お兄ちゃんが来たよ!一人じゃ寂しいでしょ?」


雄大お兄ちゃんが部屋に入ってきた。


私はその声に少し驚きながらも、心の中でほっとした。


「お兄ちゃん、練習はいいんですか?」


私は驚いて尋ねた。


「良くないけど、純怜が心配で」

雄大お兄ちゃんが優しく答えた。


その言葉に胸が温かくなった。


「サボりたかっただけなんじゃ…」

私は冗談めかして言った。


照れ隠しだった。


「もー!何でそんなこと言うんだよ!俺はただ純怜の事が心配だったからだよ!」

雄大お兄ちゃんが少し拗ねたように言った。


ちゃんと分かってる。

雄大お兄ちゃんは優しい。


「冗談ですよ。ありがとうございます。あと、ごめんなさい迷惑かけて」


「なんで謝るの。俺が好きでしてる事だから、純怜は気にしなくていいの」


雄大お兄ちゃんが優しく言った。


その優しさに涙が出そうになった。


「はい…っ、」


お腹の痛みがひどくなってきた。


「痛いね、俺がお腹さすってあげるよそしたらマシになるんじゃない?」


雄大お兄ちゃんが提案してくれた。


「でも…うぅ、お願いします」


私はためらいながらもお願いした。


今は、優しさに甘えたかった。


「あ、セクハラじゃないからね!」

雄大お兄ちゃんが冗談めかして言った。


「分かってますよ」

私は笑いながら答えた。


その笑顔が少しでも痛みを和らげてくれる気がした。


気づいたら寝ちゃってて、目が覚めた時には雄大お兄ちゃんがまだそばにいた。


彼の存在に安心感を覚えた。


「雄大お兄ちゃん、?」

私は寝ぼけながら尋ねた。


「あ、起きた」

雄大お兄ちゃんが優しく答えた。


「まだいたんですか」

てっきり寝たから練習に戻ったのかと思ってた。


「起きて誰もいなかったら寂しいんじゃないかと思って、違った?」


「あってます」

私は素直に答えた。


「良かった。体調はどう?」

雄大お兄ちゃんが心配そうに尋ねた。


「だいぶ良くりました」


少しずつ痛みが和らいできた。


「練習できそう?」

雄大お兄ちゃんが続けて尋ねた。


「はい」

私は立ち上がろうとしたけど、足がふらついた。


「純怜!危な…」

雄大お兄ちゃんが支えてくれた。


「ごめんなさい、」

「大丈夫?」


「はい、」

「まだ練習は無理そうだね、」


どうして、体は言う通りに動いてくれないんだろうか。こうしている間にも、みんなは上手くなっているのに。


「そんな顔しないで、明日からまた頑張ればいいよ」


雄大お兄ちゃんが優しく頭を撫でてくれた。

その手の温かさに心が癒された。


「はい…」


明日から…。

今日は今日しか練習出来ないのに。


「何が心配なの、」

雄大お兄ちゃんが尋ねた。


「ただ、今日練習しなかった分、また差が開いて…迷惑かけるんじゃないかって」


私は不安を打ち明けた。


「それなら俺も同じだよ。きっとダンスで純怜が怒られるならきっと俺も怒られるよ」


雄大お兄ちゃんが笑いながら言った。


その言葉に少し救われた気がした。


「怒られることはないですよ〜お兄ちゃんはどうか分かりませんけど」

私は冗談めかして言った。


「もー!裏切り者め!」


「…ありがとうございます」

私は感謝の気持ちを込めて言った。


「お礼言われることなんて何もしてないよ」

雄大お兄ちゃんは頭ポンポンと優しく撫でてくれた。


その温かさに少しだけ安心した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る