お留守番編 1
ある日、私以外のみんなにそれぞれに用事があって、外に出ないといけなった。
だから、私一人でも留守番をすることに。
「ねぇほんとに一人でも平気?」
心配そうな顔をしている智哉兄に、私は笑顔で答えた。
「私は一人でも大丈夫ですよ!」
大丈夫だって何度言っても、何かあった時のために女の子一人だけ家に置いて行くのは良くない!って。
「やっぱり俺、断りの電話かける」
流星くんは本気で電話をかける勢いだった。
「もう!大丈夫って言ってるじゃないですか」
「ほんとのほんとに?」
流星くんの優しさが嬉しいけど、少しだけ煩わしくも感じる。
「ほんとのほんとです」
「連れて行ってあげられたらいいんだけど…」
「ほんとに気にしないでください!」
一人で留守番するぐらいなんだって言うの。
もう、大袈裟なんだから。
「できるだけ早く帰れるように頑張るよ」
「俺も」
大袈裟だけど、心配してくれるのは嬉しかった。
「ありがとうございます」
ほんとに一人でも大丈夫なのに…
その時はそう思っていた。
___
「怖い…みんな、、」
家に知らない人が入ってきたとか、命の危険があるとかそういうんじゃなくて、
「キャ…!て、停電…?」
雷が近くに落ちたのか、ブレーカーが落ちてしまった。
「ど、どうやって元に戻せば…暑い、」
クーラーもつかなくなって、せめて窓を開けようと思ったけど雷の音が怖くて、我慢するしか無かった。
「誰か…」
さっき天馬兄から一時間後には帰れるって連絡きてたから、それまで自分で何とかしなくちゃ。
「暑っつい、」
布団にくるまりながらクローゼットの中に入って、できるだけ雷の音が聞こえないようにしてる。
それでもあんまり意味なくて、ただ暑いだけ。
「なんか、頭がクラクラしてきた…」
暑さと恐怖で意識が朦朧としてきたその時、
「純怜いないのか?」
凌久くんの声が聞こえた。
急いでクローゼットの扉を開いて声をかけた。
「凌久くん…?早かったんですね」
凌久くんの姿を見て、ほっとした。
「お前、そんな所で何して…」
凌久くんの驚いた顔に、私は少しだけ恥ずかしくなる。
雷が突然大きな音を立てて落ちた。
「キャ!」
驚いて凌久くんにしがみついてしまった。
「純怜…!危ね、大丈夫か?」
凌久くんを押し倒すような形になってしまって、
「ご、ごめんなさい…重たいよね、すぐどきます」 そう言って離れようとするけど
「別に…このままでいい」
凌久くん言葉に、心臓がドキドキする。
「え、」
「雷怖いんだろ」
バレてる?
「べ、別に、雷なんて…」
強がってみせるけど、本当は怖い。
「そ、じゃあ戻ってもいいんだな?」
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