感謝の気持ちを込めて…プレゼント編 1
「あの、今日友達と、遊びに行ってもいいですか…?」
私は少し緊張しながら尋ねた。
「確か、今日は練習なかったよな」
と凛月さんが確認するように言った。
「うん、久しぶりのオフの日だね」
と陽向さんが笑顔で答えた。
「いいよ。だけどファンにバレないようにね」
と智哉さんが注意を促した。
「はい。ありがとうございます」
「楽しんでね〜」
とみんなが声をかけてくれた。
みんなに嘘つくのは心が痛いんだけど、こればっかりはしょうがないんだよ。
私は心の中でそう思いながら、兄との待ち合わせ場所に向かった。
「お兄ちゃん!お待たせ!」
「純怜、久しぶり」
兄は優しく微笑んだ。
男の人にプレゼントをあげたことがなかったから、実の兄にアドバイスを貰うことにした。
「ごめんね、急にお願いして」
「いいよ。可愛い妹のお願いなんだから。それにちょうど暇だったし」
と兄は気軽に答えた。
お兄ちゃんは昔からすごく優しく接してくれて、周りからはシスコンだなんて言われてたけど、本人は別に気にしてなかったみたい。
「えーっと、男の人はどういうものを貰ったら喜ぶのかな」
「俺は実用的な物がいいかな。タオルとか日常生活で使えるものがいいと思うよ」
と兄はアドバイスをくれた。
「タオルか…」
確かにダンスの練習中にみんなよく使ってた気がする。
「それかリストバンドは?」
リストバンド…いいかも。
「うん!リストバンドにする」
「よし、じゃあ買いに行こっか」
「うん!」
ショッピングモールに来たのなんて何年ぶりだろう…
お兄ちゃんと二人きりで遊ぶのも…
練習生でダンスの練習とかで忙しかったから、結構久しぶりだな。
「練習大変?」
心配そうに尋ねてきた。
「んー、まぁね。だけど楽しいよ」
私は心配をかけないように、笑顔で答えた。
「そっか、…実はこの前の放送見たんだ」
「あ、そうなんだ」
色んな意見があったけど、お兄ちゃんはどう思ってるんだろう。
「スターライトの皆さんは純怜のことちゃんと見てくれてるんだなって思った」
お兄ちゃんも、そう思うんだ。
「うん。みんな優しく接してくれて、ほんとに有難いと思ってる」
「だけど、ファンの人達はあまりよく思ってないみたいだね」
と心配そうに言った。
「まぁね…だけど、大丈夫」
強がりでもなんでもない。
メンバーがいて、応援してくれる人がいる。
それだけで、私は頑張れる。
「辛くなったら俺でもいいし、他の人でもいいからちゃんと頼るんだよ。一人で抱え込むことが一番良くないことだから」
私は静かに頷いた。
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