感謝の気持ちを込めて…プレゼント編 2
「ごめんね、お待たせ」
私はお兄ちゃんに声をかけた。
「行こっか」
「うん」
お兄ちゃんの家の方向とは逆方向なのに、駅まで着いてきてくれた。
私はその優しさに感謝しながら歩いた。
お兄ちゃんは今も昔もずっと私の事を守ってくれてたなぁ。
「ここで解散で大丈夫?」
と兄が尋ねた。
「もちろん!今日はありがとう」
プレゼントを選んでもらうのも兼ねて、久々に会えてよかった。
「久しぶりに純怜の顔を見れて良かったよ。メンバーの皆さんにもよろしく伝えといて」
お兄ちゃんは最後の最後まで私の心配をしてくれる。
「うん!じゃあね」
私は手を振った。
変装と言うほどまでの格好はしてなかったんだけど、帽子とマスクを付けてたから十分だろうと思っていたのに…。
「ただいま」
ドアを開けると玄関には智哉さんが立っていた。
「純怜ちゃん、ちょっと話があるんだけどいいかな」
と智哉さんが真剣な表情で言った。
「は、はい…」
私は少し不安になりながら答えた。
なんの話しだろう。
リビングにはみんな揃っていて、緊張が走った。
昨日の公式発表で何か問題でもあったのかな。
私はまだ何も来てないけど…
「…純怜ちゃん、これってどういうこと?」
と智哉さんが見せてきたのは、お兄ちゃんと買い物をしてる写真だった。
「ど、うして」
私は驚きと焦りで声が震えた。
もしかして、ファンの人が…?
「スーパーへ行く途中に見かけたんだ。俺だったからよかったけど、他の人だったらどうなってたと思う?」
雄大さんが優しく問いかける。
私は、何も言えなかった。
」彼氏がいることは別に責めたりしないよ、恋愛するのは勝手だからね、だけど純怜ちゃんはもう僕達の公式なメンバーなんだよ」
智哉さんが冷静に言った。
「純怜ちゃんはファンが悲しむことをするのを一番嫌ってたはずでしょ?それなのにどうしてこんな事…」
陽向さんが心配そうに言った。
彼氏じゃないから、血の繋がったお兄ちゃんだから、大丈夫だって思ってた。
だけど、みんなそんなこと知らないから、誤解するに決まってるよね。
ほんと軽率な行為だった。プロとして失格だ。
私は心の中で自分を責めた。
「実は…」
"血の繋がったお兄ちゃんなんです"
そう言いかけた時だった。
「せっかく認めたのに!メンバーみんな純怜の事を信じてたのに!自分が何したのか分かってる?メンバーみんなに迷惑がかかるところだったんだぞ!」
凛月さんが怒りを抑えきれずに言った。
「凛月、落ち着け」
天馬さんがなだめていたけど、その通りだった。
私は凛月さんの言葉に胸が痛んだ。
みんなが私を信じてくれていたのに、こんなことで裏切ってしまったなんて…。
涙がこみ上げてきたけど、私に泣く資格は無いと思って、必死にこらえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます