公式発表編 3
「純怜はダンスも歌も上手い。何より努力しています。またすぐにコンサートがあると思うのでその時にありのまま純怜を見てあげてください」
智哉さんが私を信じてくれていることが伝わってきた。
「…俺も初めは純怜の事をちゃんと見てあげられなかった。たくさん酷いことを言って傷つけた。謝っても謝りきれないし、許してくれないと思ってた」と凛月さんが言った。
「凛月さん…」
凛月さんがそんなふうに思ってたなんて、知らなかった。
「なのに純怜は…笑顔で、これからよろしくって言ってくれたんだ。あんなこと言わなかったらもっといいスタートがきれてたんじゃないかって、すごく後悔した。そんな奴はもう俺一人で充分だ」
と凛月さんは続けた。
凛月さんの言葉に、私は胸が熱くなった。
「わがままなのは分かってます。だけど、どうかお願いします」
と頭を下げた。
心からのお願いだった。
「純怜ちゃんはほんとにいい子だよ!嘘じゃない。騙されてるって思う人もいるかもしれないけど、騙されてもない、だからお願い。純怜ちゃんを傷つけるようなことは言わないで」
と陽向さんが言った。
陽向さんの優しい言葉に、私は少しだけ涙がこみ上げてきた。
「混乱しているのは分かります。だけど、分かって欲しい。これ以上は何も言いません。だけど、あと一つだけ。誹謗中傷は書かないと約束してください」
と流星さんが真剣に言った。
「私一人ぐらいなら…って考えてる人が何人いるか。今はまだ純怜の良さを分からなくていい、認めなくていい。だけど、傷つけるようなことは絶対に許さない」
と莉久さんが強く言った。
莉久さんの強い言葉に、私は1人じゃないんだって思えて、すごく安心できた。
「皆さんも頭を整理する時間が必要だと思うので、今日はここまでにしておきます」
と智哉さんが締めくくった。
そうしてイン〇タライブは終わった。
私は深く息を吐いて、少しだけ肩の力を抜いた。
これからが本当のスタートだと心に誓った。
「ふぅー、これで一件落着だね」
「陽向、安心するのはまだ早いよ。何も起こらなかったらいいけど…」
流星さんは心配そうに言った。
殺害予告とか出ちゃうのかな、家にファンが来たりしたらどうしよう…と不安がよぎった。
「純怜ちゃん、ごめんね。もしもの話だからそんなに怖がらないで」
と流星さんが優しく言った。
「はい…」
「よし、今日はもうこれでおしまい!純怜ちゃんもあんまり深く考えすぎないでね」
流星さんが励ましてくれた。
私は何も言わずに頷いた。
「今日はもう遅いし、そろそろ寝よっか!おやすみ〜」
「おやすみなさい…」
そうして、みんなそれぞれ自分の部屋に戻っていった。
私は深く息を吐いて、今日の出来事を振り返りながら、自分の部屋に向かった。
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