感謝の気持ちを込めて…プレゼント編 4

「そ、うだったんだ…」

陽向さんが納得したように言った。


「理由も聞かないで、怒鳴ってごめん」

凛月さんが謝った。


「誤解するのは当たり前のことです。何も考えずに行動をしてしまった私の責任です」


「純怜ちゃんは、そんな事しないって分かってるのに…ちゃんと信じてあげられなかった」

流星さんが悲しそうに言った。


「ほんとに大丈夫です」


私が悪いのに。


みんな私の話をちゃんと聞いてあげられなかったってすごく悲しんでいて、重い空気が流れていた。


だけど、その空気を破ったのは智哉さんだった。


「俺達は理由も聞かないで責めるのは良くないと学んだ。純怜ちゃんも、どんな理由であれ人を誤解させてはいけないと、学ぶことが出来た。次はないけど、今回はもうこれで終わりでいいんじゃないか」


と智哉さんがリーダーらしくまとめてくれた。


「そうですね」

陽向さんが同意し、


「はい。これから気をつけます」

私も答えた。


これで一件らくちゃ…


「駄目!」

さっきまで静かに聞いていた雄大さんが突然大きな声を上げた。


「…え?」

何か許してもらない理由でも、


「俺だって、純怜ちゃんにお兄ちゃんって呼ばれたい!」


「そ、そんな…」

私は戸惑った。


まさかそんな要望を言われるなんて。


「嫌…?」

そんな目で見られたら、


「嫌と言うか…」

小っ恥ずかしいだけだけど。


「俺達もう家族でしょ?」


家族…。


そんなのずるいよ、

そんな事言われたら断れないもん。


「だけど、恥ずかしいです」


「確かに、雄大くんはお兄ちゃんってタイプじゃないしね」


そう言って陽向さんが笑った。


「ふっ、言えてる」

凛月さんも笑った。


「何それ!えーじゃあくんでもいいよ。でも、さんはやめてよ。距離感じるから」


「だけど…」


「今すぐにとは言わないよ。これから少しずつ慣らしていけばいいけらさ」

智哉さんが優しく言った。


「分かりました。…雄大、お兄ちゃん」

私は恥ずかしそうに言った。


「雄大くん顔赤い!照れてる〜」

流星さんがからかった。


「う、うるさい!」


やっぱりみんな仲良いんだな。

賑やかでいいなぁ。


「あ、そうだ。あの、これ…」

私はリストバンドを差し出した。


やっと渡せた。


「うわぁ、かわいい。これを買いに行ってたの?」

智哉さんが驚いた。


「はい。好きなのを選んでください」


想像以上に喜んでくれてすごく嬉しい。


私はその姿を見て、笑がこぼれた。


「ありがと!」

みんなが口々に言った。


「どういたしまして」

私は微笑んだ。


「練習の時につけるね」

と智哉さんが言った。


「俺も俺も!」

流星さんが続けた。


「ありがとうございます」


そして次の練習の日からみんな必ず付けて来てくれるようになったそうな。

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