お留守番編 3

「何?」

凌久くんの優しい声に、少しだけ勇気が湧く。


今なら、正直に自分の気持ちを伝えられるかも。


「えっとその...雷が怖くて...だから...手、握ってもらえませんか?」


勇気を振り絞ってお願いした。手を握ることで、少しでも安心したかった。


「それぐらいいくらでもしてやる。でも、とりあいず先にブレーカー直してくるから待ってて。このままだと暑いだろ」


拒否されなくてよかった…。


「できるだけ早く戻ってきてね、」


数分後凌久くんが戻ってきて、エアコンに電源を入れた。


「涼しい…」


涼しい風が心地よくて、ほっとする。


「こんな暑いのによく一人で我慢してたな」


凌久くんが帰ってきてくれなかったら、今頃熱中症で倒れていたかもしれない。


「怖くて、動けなかった」


「俺たちの誰かに電話すれば良かっただろ」


凌久くんの言葉に、少しだけ罪悪感を感じる。迷惑をかけたくなかったけど、やっぱり頼るべきだったのかもしれない。


「迷惑かなって、」

自分の気持ちを正直に伝える。

みんなに迷惑をかけたくなかったから、我慢してしまった。


「あのなぁ。逆だよ逆」

そう言いながらため息をついた。


「逆?」

凌久くんの言葉の意味がわからなくて、問い返す。


「むしろ嬉しいんだよ」

凌久くんの言葉に、胸が温かくなる。


「え、なんで、」

驚きと共に、凌久くんの言葉の意味を知りたいと思った。


「なんでって、みんな純怜のことが大切に思ってるからに決まってんだろ。だから、もっと俺達のこと頼れよ。迷惑とか思うわけないから」


凌久くんの言葉に、涙が溢れそうになる。

私のことを本当に大切に思ってくれているのが伝わってくる。


「私のために、帰ってきてくれてありがとう」


凌久くんが戻ってきてくれたことが、本当に嬉しかった。


「どういたしまして。まぁ、まだ俺達のこと頼れないなら、それまでは俺達が純怜の気持ちを出来るだけ理解することにする」


「凌久くん、」


私の気持ちを理解しようとしてくれているのが嬉しかった。


「…だから」


「わっ、」


今、凌久くんに抱きしめられてる…?


凌久くんの温もりが、一気に私の心を包み込む。

私の不安を一気に溶かしていく。


「本当は手よりこっちの方がいいんだろ」

凌久くんの言葉に、安心感が広がる。


抱きしめて欲しいなんて、さすがに迷惑かと思って言わなかったけど、バレてたんだ…。


「うん」

凌久くんの胸に顔を埋めながら、素直に答える。


抱きしめられてる安心感で雷の恐怖が薄まっていった。


凌久くんの温もりが、私の心を癒してくれた。



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