国民的アイドルの愛され末っ子は紅一点!?

@hayama_25

スターライトとの出会い編 1

ある日突然、事務所の社長に呼び出された。


何かやらかしてしまったか、何も問題は起こしていないはずだけど…


何が起こったのか全く分からず、緊張しながら社長室のドアをノックした。


「失礼します、星宮純怜です。」


「おお、純怜くん、入ってくれ。」

社長はにこやかに迎え入れた。


社長室に入ると、社長がデスクの向こう側に座っているのが見えた。社長は私に向かって微笑みながら言った。


「純怜くん。君をデビューさせることに決まったよ」

「えっ、本当ですか?」


その言葉を聞いて、驚きと喜びで胸がいっぱいになった。


「そうだ。君の才能を見込んで、スターライトの新メンバーとしてデビューしてもらう」


「それはどう言う…」


その瞬間、社長室のドアが開き、スターライトのメンバーたちが入ってきた。


彼らは私を見て、驚きと戸惑いの表情を浮かべた。


「社長、お話があると伺って参りましたが、先客の方がいらっしゃるようですので…また後ほどお伺いいたします」


「いや、その必要は無い。君たちに紹介したい人がいるんだ。ここいる星宮純玲くんを新メンバーに追加する」


「ちょっと待ってください、社長。新メンバー追加の件は以前断ったはずですが、これは一体どういうことですか?」


リーダーの橘智哉が問いただした。


「そのままの意味だ、半年後にはもう純怜をいれた八人で活動をしてもらう」


「どうして、」


なんの前触れもなくそんなの…

私だって戸惑ってる。


国民的アイドルグループ「スターライト」は、メンバーの一人が突然脱退することになり、急遽新メンバーを募集することになった。


という話を人伝に聞いたことがあった。


その新メンバーが私だったなんて。


メンバーたちは納得していない様子だった。


そんなの、当たり前か。


「…俺は反対です」

「ちょっと、凛月」


「だってそうだろ?陽向は反対じゃないのかよ」

「それはそうだけど…でも…」


私がいるから、気を遣わせてしまっているのか。


だけど、やっぱり、そうだよね。


途中から入ってこられても迷惑なだけ…


「僕たちは男性だけのグループとしてやってきたんです。それなのに、突然女性が入るなんて…」


中村流星が反対の声を上げた。


「そうですよ。ファンも混乱するだろうし、グループのイメージが変わってしまう」


長谷川凌久も同意した。


その言葉を聞いて、胸が痛んだ。


自分がグループにいるだけで、迷惑をかけるのではないかと不安になった。


「私たちはみんな反対です。彼女がどうこういう訳ではなく、私たちはこのメンバーでずっと走ってきました。これからもそれをやめるつもりはありません」


今まで積み上げてきたものが私のせいで崩れてしまう。


「そうは言われても、もう決まったことなんだ。お前たちがなんと言おうと、決して変えられることではない」


私だって…


そんなの反対だよ、


「社長、私も…やっぱり加わらない方がいいと思います。ファンのためにも、スターライトのためにも…」


涙をこらえながら言った。


そんなことを言うとは思っていなかったのか、みんなびっくりしていた。


「純怜くん、どうして…」


社長は困惑した表情を浮かべたが、私の決意を感じ取ったようだった。


「私はデビューの為だけに、ずっと頑張ってきました。スターライトのメンバーになれることは、凄く嬉しいし、光米なことです。だけど、もしも私がメンバーになったら…ファンのみんなはどう思うか私が一番よく分かります。だって、私もファンだから。ファンを悲しませることは一番してはいけないことだと思います。ですから、この話はなかったことにしてください。失礼します」



深く頭を下げて、社長室を出た。


やってしまった…


だけど、後悔はしてない。



これで良かったんだ。

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