スターライトとの出会い編 7
「雄大くん早く早く!」
朝から賑やかだな〜
なんて呑気に思ってたんだけど、何やら深刻そう
「凛月が熱出しちゃってさ」
「えぇ!大変...」
最後に熱が出たのは高校生の時だって言ってたのに、(雑誌で)
「そうなんだよ。熱もあるのに、ダンスの練習するとか言い出すし。それなのに、食欲無いからご飯は食べないとか何とかって、」
ダンスの練習に行こうとしていた所を、陽向さんがたまたま見つけて引き止めたらしい。
早く良くなるには栄養のあるものをしっかり食べて、薬飲んで寝るしか…
「一応、お粥作ったんだけど、食べてもらえるかどうかも分からなくて、ほんと困ったもんだよ」
私にも、なにか手助けできることがあればいいんだけど…
あ、そうだ。
「生姜とレモンってありますか?」
「生姜とレモン…?あるけど、」
「それじゃあ、少しだけキッチンお借りしてもいいですか?」
「もちろん」
昔から熱が出た時におばあちゃんに作ってもらった。
体の芯から温まって早く熱が治まった気がする。
「出来た...」
「わぁ、凄くいい匂いだね」
「わっ!雄大さん」
すごく集中していたから、後ろに雄大さんが立っていたことに気づかなかった。
「驚かしてごめんね。それ、凛月に?」
「はい。生姜ハチミツレモンティーです」
お腹がすいてなくても、少しぐらいは口をつけてくれるはず。
「きっと凛月も喜ぶよ」
それは…私以外の人が渡したら。
私が渡したらきっと受け取ってすら貰えない。
それぐらい嫌われてるんだって、鈍感な私でも分かる。
「私の代わりに雄大さんが渡してくれませんか。私が作ったことも言わないでください」
「え、だけど....」
何を言おうとしてるのか分かる。
私が、あげれるならあげたい。
だけど、今はなるべく視界に入らないようにするべきだから。
「いいんです。私よりも雄大さんから貰った方が嬉しいと思うので。お願いします」
昨日の今日で意見が変わったとは思えないし。
「分かったよ、」
まだ納得していない様子だったけど、渋々凛月さんの部屋に入っていった。
そして、数分後に笑顔で出てきた。
「俺が作ったおかゆには口もつけてくれなかったのに、純怜ちゃんが作ってくれた生姜はちみつレモンティーはちゃんと飲んでたよ。美味しいって、また明日も飲みたいってさ」
気に入ってもらえて良かった。
「分かりました!また明日頼んでもいいですか?」
「え、別に...俺はいいけど、純怜ちゃんはそれでいいの?」
「はい」
「そっか、分かった」
それから凛月さんの為に熱が下がるまで毎日作った。
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