初めてのサイン会編 1


「うぅ、緊張する…」

「そんなに緊張する必要ないよ」


雄大お兄ちゃんが優しく言った。


「雄大お兄ちゃんは慣れてるかもしれないけど、私は初めてだから…」


ファンの方と交流できるありがたい機会だってことは分かってるけど、


「初めてだからこそ楽しまないと!初めてなんて今回だけなんだから」


なんという、ポジティブな思考回路…

私は心の中で感心した。


「それもそうですね!」

私は少し元気を取り戻した。


コンサートの時よりも緊張するかも、なんて思っていたら、いつの間に時間が過ぎていて…


あっという間にサイン会の時間になった。


サイン会が始まると、ファンのみんなが温かく迎えてくれた。


緊張していたけど、みんなの笑顔を見ていると自然とリラックスできた。


「こんにちは」

「こんにちは!」

私は笑顔で答えた。


「純怜ちゃん、サインお願いします!」

「はい、ありがとうございます!」


ペンを手に取り、サインを書いた。


「私、この前コンサートに行ったんですけど、それから純怜ちゃんの事が大好きになりました!」


「ほんとですか!?嬉しいです!」

私は感動して答えた。


私の気持ちが少しでも伝わったみたいで嬉しかった。


「酷いことを言う人もいるかもしれないけど、純怜ちゃんの事を好きな人も沢山いるんだって事を忘れないでほしいです」


ファンの方が励ましてくれた。


「うぅ、そんな感動する事言わないでください…涙が出てきそうです」

私は涙をこらえながら言った。


今まで頑張ってきて、ほんとに良かった


「泣かないで、メイク直さないといけなくなるから」


「ほんとに、ありがとうございます。これからも頑張ります!」


期待に応えられるように、もっともっと頑張らないと。


「はい!応援しています!」

とファンの方が笑顔で言った。


それから、沢山の人が応援してますって言ってくれたり、励ましの言葉をくれた。


自分が思ってるよりもずっとたくさんの人に認められたんだと思った。


ファンのみんなが喜んでくれる姿を見て、私は本当に嬉しかった。


もちろん、私の事を好きな人もいれば嫌いな人がいるのは当たり前のことだけど…。


「こんにちは!」

私は次のファンに声をかけた。


聞こえなかったのかな…


「こんにちは」


もう一度声をかけたけど、返事はなかった。


無視、だよね…


前までの凛月くんのことを思い出しちゃった。


「私の事…嫌いですか?」

勇気を出して尋ねた。


「うるさいんだけど」

そのファンが冷たく言い放った。


「え…」


「誰があんたなんかに会いに来るのよ、私はスターライトに会いに来たの。分かったならもう喋りかけないで」


とそのファンが続けた。



それってつまり、私の事をスターライトのメンバーとして認めてないって事だよね…

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