女優デビュー編 2

「…ふぅ、」


深呼吸をして、台本を手に取った。


初めての本読みが始まる。


周りには経験豊富な俳優たちが集まり、私の緊張は一層高まった。


マネージャーさんと一通り挨拶回りはしたけど、


もちろん友達なんてできるはずもなく、ただ俯いて座っていた。


心臓の鼓動が速くなり、手のひらには汗がにじんでいた。


その時、隣に座っていた同世代の女優、山田彩香が優しく声をかけてくれた。


「こんにちは、初めまして」


「初めまして、」


「私、昔からスターライトのファンで、今回美月さんと共演できるって知って、本当に嬉しかったです」


驚きと嬉しさで顔を上げた。


「ありがとうございます。私も美羽さんと一緒に演技できるなんて光栄です」


美羽さんは今年新人賞を受賞した今最も注目されている女優さんだ。


私も、ドラマで初めて美羽さんを見た時、目が離せなかった。


可愛くて、綺麗なのはもちろんだけど、


何よりも、演技がすごく上手だったからだ。


美羽さんはにっこりと笑い、


「初めての演技って本当に緊張しますよね。私でよければいつでも相談に乗りますよ」


「ありがとうございます、彩香さん。よろしくお願いします。」


少しだけ安心した気持ちになった。

言葉だけでも嬉しかった。


「一緒に頑張りましょう」

「はい」


それだけ、作品作りに全力なんだ。


私も、足を引っ張らないように頑張らなくちゃ。


そして、ついに本読みが始まった。


私は深呼吸をして、心を落ち着けた。


「では、最後に主演の純怜さん。一言お願いします」


「こんにちは。私は星宮純玲です。今回、このドラマで初めて演技に挑戦します。どうぞよろしくお願いします」


自己紹介を終えると、共演者たちから温かい拍手が送られた。


少しだけ緊張がほぐれた気がした。

「じゃあ、純怜さん、最初のシーンから始めましょうか」


ついに始まる。


私は台本を見つめ、心の中で何度もセリフを繰り返した。


大丈夫、できる。

落ち着いて、練習したとおりにすればいい。


深呼吸をして、セリフを口にした。


「おはようございます。今日はとてもいい天気ですね」


セリフを言い終わると、心臓がドキドキしているのを感じた。


自分の声が少し震えていたかもしれない。


でも、共演者たちの優しい目が私を見守ってくれているのがわかった。


監督が微笑んで、


「いい感じだよ、美月さん。その調子で続けてみよう」


そう言ってくれた。


私は再び深呼吸をして、次のセリフに集中した。


少しずつ、自分の中に自信が芽生えていくのを感じた。


演技の楽しさと奥深さが、少しずつ私の心に広がっていった。

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国民的アイドルの愛され末っ子は紅一点!? @hayama_25

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