初めてのサイン会編 4

「純怜連れてきた」

と天馬兄がみんなに声をかけた。


「あ!純怜!なんでお姫様抱っこ…あ!もうしんどくない!?大丈夫!?」


流星くんが心配そうに駆け寄ってきた。


「大丈夫です」

私は笑顔で答えた。


「はあ、良かった」


やっぱり。沢山心配かけたよね。


「天馬兄も、もう大丈夫だから、下ろして?」


「わかった」

天馬兄が優しく答えた。


「みんな、心配かけてごめんなさい。私が急に過呼吸起こしたからびっくりしたよね、」


「いやいや。びっくりしたのは純怜の方でしょ。それに、無事で何よりなんだから謝らないで」

雄大お兄ちゃんが優しく言った。


「むしろ謝らないといけないのは俺の方だよ。すぐそばにいたのに純怜に怖い思いさせちゃって…助けてあげられなくてごめん」


と智哉兄が涙声で言った。


「え、智哉兄…もしかして、泣いてるんですか?」

あの智哉兄が…?


「泣いて、ない」

智哉兄が顔を背けた。


「泣かないでください、智哉兄は何も悪くないです。守ろうとしてくれてありがとうございます」


あの時、ずっと傍にいてくれてほんとに嬉しかった。


「純怜…あの時はほんとに焦ったよ」

智哉兄が言った。


「私は、ナイフを向けられた事よりも、智哉兄が私を庇おうとしてくれた事の方が驚いたかも」

なんて言って笑ってみせた。


「頭で考えるよりも先に体が動いてたんだ」

「そっか、ありがとう」


「智哉ばっかり純怜と話しててずるい!」

雄大お兄ちゃんが話に入ってきた。


「純怜はまだ病み上がりなんですから、困らせないであげてくださいね」


「なーんだよその言い方は!普段から困らせてるみたいじゃないか!」


雄大お兄ちゃんの


「雄大お兄ちゃん、心配かけてごめんね」


「純怜が無事で良かったよぉ!」

雄大お兄ちゃんはそう言って、私にハグした。


「雄大お兄ちゃん、く、苦しいです」

と私は息を詰まらせながら言った。


「あ、ずるい俺も純怜とハグする!」

そう言って、流星くんも私を抱きしめた。


「わっ」


二人に抱きしめられて、息が…


「ちょっとちょっと、純怜が潰れちゃいますよ。離れてください」


それを見ていた凛月くんが注意した。


「真面目な話、今回の件と言い、コンサートの時と言い、今度からもっと警備体制を整えるように上と話をしてきた。純怜、怖い思いさせてごめん」


と雄大お兄ちゃんが真剣に言った。


「今度こそ、俺たちが守ってみせるから」

凛月くんが力強く言った。


「うんうん」


「智哉兄…みんな…ありがとうございます」


今日のことは確かに怖かったけど、それでもみんな私のことを大切に思ってるってことが分かって嬉しかった。



私を大事に思ってるくれている人がいるから、私は何があっても大丈夫なんだ。

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