スターライトとの出会い編 10
次の日、練習室に行くと、そこにはもう凛月さんがいて、私を見るなり舌打ちをして部屋を出ていった。
胸が締め付けられるような思いで、心が沈んだ。
「私なら大丈夫、大丈夫…」
心を落ち着かせるために呪文のように何度も繰り返した。
手が震えるのを抑えながら、深呼吸をする。
「練習するよ〜」
「はい、」
声が小さく、元気がないのが自分でも分かる。
心配かけちゃだめだ、
「元気ないみたいだけど、どうかしたの?」
「元気です、」
自分を取り繕うように笑顔を作りながら答えたが、声が震えていた。
「まさか凛月になにか言われた、とか?」
普段はおちゃらけているのに、グループの最年長だからだろうか、人のことをよく見てる。
「ち、違いますよ。ほんとに何も無いです」
必死に否定するけど、心の中ではさっきのことが頭から離れない。
「そ、ならいいけど」
これ以上、私のせいでみんなの友情が壊れるのは嫌だ。
そう思いながら、練習に集中しようとしたけど、心の中の不安は消えなかった。
だけど、いざ練習が始まったら、他のことを考えてる余裕なんてなかった。
「純怜、遅れてる」
「っ、すみませ、っ、はぁ、」
ついて行くのに必死でちゃんと踊れているかすら分からない。
息が切れて、心臓が激しく鼓動している。
体力には自信があったのに、レベルが違う。
壁が高すぎる...
「じゃあ、ちょっと休憩しようか」
リーダーの一言で休憩に入った。
凛月さんは1人で休憩していた。汗を拭きながら、遠くを見つめている。
陽向さんが話しかけようとしていたけど、
「今はまだそっとしておけ、揉めるだけだぞ」
そう言って天馬さんが止めていた。
だけど、私はこの雰囲気をどうしても変えたくて、勇気を振り絞って一歩踏み出した。
「あの、凛月さん...」
聞こえているはずなのに、あたかも私がいないか
のように汗を拭いているだけだった。
「 あの、私、」
「はぁ。何かあるならさっさと喋れよ」
「すみませ、」
声が震えて、言葉が詰まる。
「俺に話しかけて何を言うつもりか知らないけど、いつもならこんなすぐ休憩なんかしない。ただでさえ足引っ張ってるんだか休憩中も練習するだろ。お前は何にも分かってないんだな。俺に話しかけるよりもっと他にやらないといけない事があるだろ。本気でスターライトのメンバーになりたいと思ってんの?俺達がどんな気持ちでここまで来たのか知らないだろうけど、頼むから、迷惑かけけるな邪魔するな」
胸が締め付けられるような思いで、涙がこぼれそうになる。
「そうですよね、ごめんなさい。練習してきます」
凛月さんは、私が全然努力してないように見えてるんだろう。
だけど、それは正解かもしれない。
私は今まで私なりに頑張ってきたつもりだった。
だけど、他の人達にとってはそれは当たり前の事で...
むしろ足りないぐらいだったのかもしれない。
そう考えたら今までの私がすごく恥ずかしく感じた。
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