――奇獣流転前日譚――　その魚は水を求める

※当作は連載中の「――奇獣流転譚――　その音を知る者へ」の中から第5.5章「沙南の医者が出奔するまで」を分離・独立させ、修正を加えたものです。「――奇獣流転譚――　その音を知る者へ」を読んでいなくても理解できる内容になっていますが、両方合わせてお読みいただくとさらに楽しめます。

　中世の日本とよく似た世界の物語。
　沙南国の医者の家に生まれた七見鷹一郎は、厳しい父親のもとでめきめきと頭角を現していく。守護家のお抱えである七見家を継ぐべく、鷹一郎は絶えず腕を磨き、同時に医者として治療を行ない続けていたものの、やがて医者としてのあり方をめぐり、父親とぶつかるようになる。貧民たちの治療に携わるうちに、己の置かれている状況からの離脱を望む心はさらに増し、やがて彼はすべてを捨て、西へ旅立つ――。

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