第22話 姫君
近いと言えば近いのだが、すぐそことも言い
ここからなら、時々都まで足を運んで、新たな
俺は軽谷にやって来る行商や、都に行った経験のある
その中から、
こころよく応じてくれたその医者とは、何度か文でのやり取りをし、今回、都へ行くことも伝えてある。
医者の名は
「よくぞ来てくれた。文を読んで事情はおおよそ
そう言って
だが話してみると、
その日は槐北の家に泊めてもらい、翌日になると、彼が
さらには、都にいる医者でこの分野ならこの医者が……といった、他の医者の評判から、槐北自身の医術に関する知見まで、様々なことを教わった。
これまで、文でもいろいろやり取りをしていたが、やはり実際に会って話してみないと分からないことも多い。軽谷に留まっていては得られなかったものがたくさん得られて、俺は強い充実感を
来てよかったと、心から思う。
軽谷に戻ったら、今回得たことが生かせるはずだ。早く戻りたいという気持ちすら、わいてくる。
そうして、満ち足りた一日が終わろうとしていた時。
槐北と彼の門弟の会話が、耳に入った。
「
「そうか……お気の毒なことだ。私が治療に
そう言って暗い顔でため息をつく槐北に、俺は「九護家の姫君とは?」と聞いてみた。なぜだか、やけに気にかかったのだ。
槐北は
「
「どのような症状なのかは、分かりますか?」
槐北は医者仲間から聞いたという話を教えてくれた。
高熱、
前に、よく似た症状の病人を診たことがある。「裏手」でだ。
確かにあれは、
とは言え、
あの時は俺も
同じ方法が通じるかは分からないが――俺は槐北に、九護家の屋敷の場所を訪ねた。
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