「は?!誰に?!」
電話をかけた途端、いつもと違う声色の理由を聞いたがために俺の頭の中は大混乱。話を聞けば、どうやらなっちゃんの方には好きという気持ちが全く無いみたいで安心するとともに、そいつがなっちゃんと同じクラスのモテる奴だという問題が発生していた。俺は月1も会えないのに、その男はほぼ毎日会えるわけだ、そんなの口説き放題じゃないか…
「好きじゃ無いならちゃんと断りなよ?」
「あ、いや、断ろうとしたんですけど…」
「けど?」
「もうちょっとだけ時間欲しいって言われて、まだ断らないでって…振り向かせる自信あるからもうちょっと待ってって…」
…龍といいその同級生と言い、イケメンというやつは何処からそんな自信が湧いてくるのかが不思議で仕方がないのと同時に、羨ましさを感じる。
「あ、26日遊び誘われたりしてないよね?」
「誘われはしましたけど、ちゃんと断ってます!」
「ん、よろしい」
そう、俺は早めの予約のおかげで、12月26日のなっちゃんを獲得することができた。朝は仕事だからお昼からだけど。24日と25日はさすがにクリスマス系統のテレビで忙しいが、
「クリスマスイブと当日は、恋人持ちの人に休みを譲るので、バイト忙しいんです!」
と、なっちゃんもアルバイトで忙しいらしい。これはこれで、当日仕事で良かったかもしれない。
「会えるの久しぶりですね!」
「本当、夏休み以来…?」
「わ、そんなになるんですか…早く会いたいのにあと1週間が長く感じます…」
「…そうだね、早く会いたいね」
この子はいつもサラッとこんなこと言うから心臓に悪い。
「ふーがさんこっちでお仕事ですか?」
「名古屋なんだよね、昼までラジオの収録なんだ。あ、ちょうど関西までの行道だから気にしないでね?」
「ふふっ、はーい」
基本的に仕事大好きな俺が、この日ばかりは1日彼女と一緒にいられない事から仕事を嫌いになりそうになった。
そんな自分に悲しくなるほどに、なっちゃんの事が好きだ。
「あ、帰って来た。ふーがさんどこ行ってたんすか?」
「ちょっと飲み物会に行ってた。なんかあった?」
「さっきスタッフさんから俺らにってお土産貰ったから呼びに来たんだよ。食う?」
「美味そっ、食べる食べる」
今は仕事で地方のホテルに泊まっている。自販機から帰ると龍と勝が俺の部屋の前に立っていたから何事かと思った。他のメンバーは勝の部屋にいるらしく、1階下の部屋へと移動した。
「夏月と電話してたんだろ?」
「んなっ…お前もしかして尾行してたのか?」
「してねーよ。顔が生き生きしてたからそうじゃねぇかって思っただけだよ」
「…もうお前怖いわ」
俺はこれから、電話の内容を聞かれてないか確認するだけでなく、電話の後の表情の確認もしなければいけないのか…
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