「さみぃ…」
めちゃくちゃ寒い。とにかく毎日寒い…もう12月だもんな、当たり前か。番組もCMも街並みも、一気にクリスマス仕様になっているのに、俺の心のはどこかその季節に追いついていない気がするのは、
「…会えるかな、」
なっちゃんと年末までに会えるかどうかと言うことに、気持ちを引っ張られているからだろう。12月24日はグループで歌番組、25日はロケと、やっぱりこの時期は忙しい。
「なぁ龍」
隣にいた年下のメンバーにふときいてみた。
「なんすか?」
「クリスマスに好きな子と過ごした事ある?」
「…どーしたんすか急に」
…本当、どうしたんだろうな。この人肌恋しくなる時期に、なっちゃんに会えてなくてめちゃくちゃ寂しくなっているのかもしれない。
「俺好きな子出来たことないんで分かんないんすよね。うちのグループ、皆女の子と関わるの苦手そうじゃないっすか?偏見ですけど。真面目にアイドルしてるだけだと思いますけど」
そう、そうなんだよ。みんな忠実にアイドルすぎるんだよ。でもさ?アイドルが恋愛したらダメって誰が決めたんだ?
俺今忠実な恋愛してますけど?!んで忠実なアイドルもしてますけど?!
「ふーがさんこそ、彼女とクリスマス過ごした事あるんじゃないですか?」
「…いや、ない」
「うっそだ~一番やってそうなのに」
「どういう事だよ!…彼女がいなかったわけじゃないけど、長く続かないからクリスマス越したことないんだよな」
「へぇ、でも確かにふーがさんってモテるのにすぐ振られそうな感じしますよね。みんなに優しすぎて嫌気差されてそう」
「ぬっ…」
図星かもしれない。真面目に仕事してたら、真面目に恋愛出来てなかった俺が悪いんだけど…今の俺はすべてにおいて大真面目だ。
「まぁでも、好きな人ができたらクリスマスとか誕生日とか、一緒に居たいっすね。俺だったらガンガンアプローチしますよ」
「…向こうが自分の事好きかわからなくても?」
「当たり前じゃないっすか!好きかわからないのは今の話っしょ?俺はその日のうちに落とす自信しかないっすから」
……
「…お前かっこいいな」
「今頃っすか?」
確かに、龍の出す色気は本気を出せば2分、いや10秒もあれば女の子1人くらい余裕で落とせるだろうな。非常に羨ましい能力だ。
この前、勝から、
「夏月、放課後デートしてたらしいよ」
って言われて、なかなか焦っている。若者に負けないようにしないといけない。
…ふん。俺も頑張りますか。10秒なんて無理だけど、ちょっとでも気になってもらえるように頑張ろう。
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