「やべぇ、あんなに可愛かったっけ?無理なんだけど…」
「うわきも。」
勝にディスられても全く気にならない。前にあった時のなっちゃんの顔は生涯忘れることないぐらい目に焼き付けていたはずなのに、久しぶりに会った彼女の顔は数倍可愛く見える。さらに制服姿。接客用の声で仕事をしているなっちゃんを自然と目で追ってしまう
「お前見すぎな」
「可愛いものは目で追う。それが男の本能だろ」
「そんなに好きかよ」
………
「なんでだまる!?」
…いやだってさ?ここで好きとかいっちゃったら…一応アイドルだし、あの子はまだ未成年だし?
「まぁ言いたいことはわかるよ。でも気をつけないと、夏月モテモテだからおじさん相手にされなくなるぞ〜」
「誰がおじさんだよ!お前も同い年だろ!」
「夏月から見れば俺ら十分おじさんじゃん。ほら見てみ?あそこ」
指さされる方を見るとレジのところで仲良く話をしているなっちゃんと若い男の子の店員。
「近っ…」
距離が近い。なにボディータッチしてんだ…
「眉間にしわ寄せんな、嫌われんぞ」
頭を振って豊富なメニューへと視線を移し、2人を見ないようにした。
「お待たせしました〜」
「ありがと!」
「ありがと」
お盆に料理を乗せてやってきたなっちゃんは俺たちの方をみて、ニコッとキラースマイルを残して仕事に戻っていった。
「…今ので機嫌直った」
「単純すぎだな」
料理はファミレスとは思えないほど美味しくてびっくり。食べ終わった頃に、再びなっちゃんが顔を出しにきてくれた
「デザートサービスしますけど、良かったらどうですか?」
といってくれたのでお言葉に甘えた
「こちらが抹茶パフェと、いちごみるくパフェです!今日は中々綺麗にできましたっ。…あ、レジ来る時私呼んでな?多分違う子出てると思うから」
「りょーかい。ありがとな」
可愛いなっちゃんもみれて、お腹も心もいっぱいになった。伝票を持ってレジへと向かうと、やはり別のアルバイトの子が立っていた。
「あの、楓さんいますか?」
「…あ、はい!少々お待ちください」
しばらくして奥からなっちゃんが出て来た。
「美味しかったですか?」
「すっごい美味しかったよ!パフェも美味かった」
「それは良かったです!抹茶も美味しかったやろ?」
「抹茶にまずいとかない」
ニコニコしながらピッピとレジを慣れた手つきで打っている。
「お会計が1200円です」
「え?」
「は?」
俺たちが払おうとしていた金額の半分近くがなくなっていた。
「引けるだけ引いたからねっ」
「…いいの?そんなことしちゃって」
「一応バイトリーダーなんで。あ、許可は貰ってきましたよ?」
確かに名札にはリーダーの文字が。
「何から何までありがとうね」
「とんでもないです!2人に会えたの嬉しいんで、これくらいさせてください」
…んもう可愛いなぁ!
「あと30分くらいで終わり?」
「いや、今日は暇なので10分くらいで上がります」
それなら…
「終わるまで待ってていい?俺ら明日の昼に帰るからさ、ちょっと喋ろう?」
「…え、良いんですか!?じゃあすぐに終わらせ…」
「楓さんすみません、電話お願いできますか、?」
なっちゃんは新人らしき女の子に呼ばれ、“あとで”と口パクを残していった。向こうからは、高校生と思えない大人びた声が聞こえる。
「なっちゃんすげぇな…」
「惚れ直しただろ?」
「うん。…あ、」
「はっ、素直に認めてんじゃん!まぁこれで惚れ直してんなら、これから冷めるって言葉があり得ないくらい良いところ見えてくるわ」
…これ以上惚れるとかあるの?ってくらい、もう彼女にそっこんなんだが。一目惚れって、何が決め手で好きになったのかわからないけど、全部だな。きっと。
店の前で待っていると、私服に着替えたなっちゃんが走ってきた。
「お待たせしました!」
「おつかれっ」
「お疲れ様。はい、これどうぞ」
「…え、あっ私の好きなやつ!」
勝に事前に聞いていたなっちゃんの好きだというレモネードを渡すと、想像以上に喜んでくれた。
「もーふーがさん好き。ありがとうございます!」
「…あ、うん!どういたしまして」
この子は…普通にこういうこと言っちゃう子なの?無自覚なのだろうが、そこがまた罪だ。こういう時、どういう反応するのが正解?若い女の子の天然さにおじさん付いてけないです。
「あ、そうや。今度夏休みに東京行くんやけど、しょー君の家泊まらせてくれへん…?」
「東京?1人で来んの?!」
「うん。あかん?」
「いや全然良いんだけど…大丈夫なの?おばさん許してくれた?」
「就活やからね!面接するために行くから、どうせならしょー君の家の方が安心って言われた」
そうか就活か…関西から1人で東京って、今の高校生すげぇな。
「んじゃ日にち決まったら連絡して?」
「うん!あ、ふーがさんっ」
「んぇ?!…どうした?」
まさか自分に話を振られると思ってなかったので、変な声が出てしまった…
「3日間くらい東京いようと思ってるんで、また会ってくださいね?」
…また会ってくださいだって、また会ってくれるんだって。
「もちろん、東京案内するね?」
年上ならではの落ち着いた雰囲気を醸し出してるが、頭の中では…
(いや嘘またあってくれるって約束してくれたどうしよう絶対仕事休みにしてもらおう楽しみすぎる…)
と、すごい忙しい脳内暴走している深加瀬響だった。
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