「今日1日乗り切れます」
俺と電話しただけでそんな嬉しいこと言ってくれちゃうこの罪深い女の子。こっちのセリフだってのに。
もう少し電話をしていたいのは山々だったけど、マネージャーから車に乗れと呼ばれたので中断せざるを得なくなった。朝とはいってもほとんど夜中だし、なっちゃんのことが心配だという事もあり、出来るなら電話を切りたくはない…
「ふーがさん呼ばれてますよね…?すみません長話しちゃって」
「ううん全然!ちょっとしか電話できなかったけど…寝れないかもだけど、体壊さないようにね?」
「はい、気を付けますっ。また連絡しますね」
「うん、またね」
電話を切り、荷物をもってマネージャーの車へ移動した。この車には俺と勝、あとはメンバーの俊と龍が乗っている。順番に家まで送ってもらうのだが、俺と勝の家は少し離れているので1番最後になる。
「お疲れさんした~」
「お疲れ~」
「おつ~」
車の後ろの席に横並びとなった俺に、勝が小さな声で話しかけて来た。
「さっき、もしかして夏月と電話してた?」
「…お前本当何なの。なんでわかるの。そうだけど」
なぜわかるのか知らないけれど、ここまでくるともう怖い。
「何年お前と一緒にいると思ってんだよ、顔見たら大体わかる…こんな時間に出たの?」
「なんか、1回目が覚めたら寝られなくなったとかで。お母さんが夜勤で起こしてもらえる人が居ないから寝坊しないように起きてるとは言ってたけど」
「そっか…なんか最近、もういっそのこと一緒に住んでやろうかなって気になってきてる」
「は?」
こいつはいきなり何てこと言い出すんだ?一緒に住むって、なっちゃんと?
「なぜそうなる?」
「いろいろと心配すぎる。こんな時間に寝れなくなるとか、普通に心配じゃね?高校生の時なんて起きることの方が難しい年じゃん。なのに良く寝不足になってるのって…」
「まぁ確かに心配ではあるね。でもあと数カ月もくれば東京に来るわけだし、もっと気に掛けられるようになるんじゃない?」
「…それもそうだな。えっ、今日何日?」
「20日だけど?」
「ってことはもうすぐふーがは夏月に会えるって事かよずりぃな。たまには俺とも遊べって言ってんのに」
なっちゃんが俺に取られたと悔しがっている勝。まだ出会って1年もたっていない俺からしたら幼いころを知っている勝の方が羨ましいのだがな。
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