「…なんか、耳みたいなやつついてません?猫みたいになってる、」

「いや、俺もなっちゃんみたいに丸にするはずだったんだよ?ただ俺が不器用すぎて凸凹になって奇跡的に猫みたいになっちゃったの」

 なっちゃんがやってみたかったというガラス玉?トンボ玉?を作る体験に来たのだが、俺が不器用すぎてとんでもなくいびつな形に出来上がった。最終はキーホルダーのような形に仕上げたのだが、これはどう見ても丸じゃなくて猫の顔だ。なっちゃんはというと本当に手先が器用なようで、綺麗な丸型に仕上げただけでなく、色の組み合わせのセンスも流石だった。それに…


「…わっ、すご!」

「えぇめっちゃ綺麗、」

「やばい楽しい…」


 作っている最中がもうとにかく可愛いんですよ。何組かほかのお客さんもいたので静か目にはしゃいでいたのだが、いつも見る姿よりもはっちゃけていてとてつもなく可愛い。

「…なんか、子供な姿見せてしまって今更恥ずかしくなってきました」

「えっなんで?俺的にめちゃくちゃ可愛かったから見られて嬉しかったんだけど?」

「んなぁっ…大人の男の人は怖いですね」

「ふはっ、何それ」

「なんでもです。その猫ちゃん、」

「猫ちゃんって言ってるじゃん!」

「どう見ても猫ですもん!これと交換とかしてくれないです…?」

 なっちゃんが持っているのは彼女が作った綺麗なトンボ玉のキーホルダーだ。

「えっ、俺の不出来な奴で良いの?絶対なっちゃんの奴の方が可愛いよ?」

「せっかくの思い出やし、交換したいなぁって思って…あと、私猫大好きです」

 …俺との思い出を残そうとしてくれている。そう思うと今この場で抱きしめてしまいたくなる。

「…そんな嬉しいこと言ってくれるなら、喜んで。はいっ、じゃあ交換ね」

「やったぁ!ありがとうございます!」

 本当に喜んでくれているようで、すぐさま携帯につけて見せてくれた。

…なんでもかわいいことしてくれるんだね。おじさん心臓射抜かれ続けてるから、ちょっと落ち着いてもらえると嬉しいんだけどなぁ。


「あっ、もうすぐ始まるんやないですか?」

「もうそんな時間か…じゃあ行こうか」

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