今日の締めくくりはプラネタリウムだ。
「私、初プラネタリウムなんですよ」
「えっ、そうなの⁉」
なっちゃんの初めてのことに関われるなんてなんて光栄なことなんだ。映画館よりもゆとりのある座席に座ると、彼女のサイズ感が良くわかる。
「なんか、こういう深い椅子に座ったらなっちゃんの小動物感が増すね」
「それ褒めてます?」
「褒めてる褒めてる。可愛いもん」
「……」
可愛いと俺が褒めると、彼女はなぜか疑いのようなにらみを利かせてくる。まぁそれも可愛いから全然やって貰って構わないんですけどね?
「うわぁ…」
室内が暗くなりいざプラネタリウムが始まると、彼女は小さく声を漏らしていた。目をキラキラ輝かせている横顔は、上に広がる星たちよりも綺麗で、彼女のほうばっかり見ていた気がする。幸いなっちゃんは星に夢中で俺の視線には気づかなかった。
「…がさん、ふーがさん、」
「…ん、あれ、」
心地のいい空間で薄い意識の中、可愛い声が聞こえた。最高の空間過ぎて、いつの間にか眠っていたようだ。
「疲れてないですか?運転もそれなりに長かったし、」
「全然!ごめんね、久々にこんな心地いいとこ来たからつい…音楽流れて天の川が消えたとこまでは覚えてんだけど…ごめん」
「そんなの全然大丈夫ですよ!天の川だったら本当に最後の方ですね、その後いっぱいの流れ星流れて終わったんで。いい空間ですよね。ゆっくりできましたか?」
せっかくのデートで一瞬でも意識を手放したとか、最悪だ…それでも彼女は嫌な顔一つしない。
「うん、すっごい。ここ最近の疲れ全部吹っ飛んだ。ここ教えてくれてありがとうね?」
「そういってもらえてよかったです!出ましょうか?」
「そうだね」
もうほとんどの人が外に出たようで、中には俺たちの他に3組ほどしか残っていなかった。ここの空間…と言うより、なっちゃんとの時間を過ごせるだけで、疲れなんか忘れる。
「もうこんな時間か…」
まだ高校生であるなっちゃんを夜遅くまで連れまわすことはできない。早めの夜ご飯を済ませて外に出ると、夕焼けが綺麗な時間帯だった。
「楽しい時間ってあっという間ですね」
「本当だね~。えー東京帰るのやめよっかな」
「んふっそれは帰って貰わないと!今日はありがとうございました、楽しかったです!」
「こちらこそありがとうね、めっちゃ楽しかったよ」
最後に2人で写真を撮ろうと言うと、笑顔で頷いてくれた。鞄から取り出した彼女の携帯には、俺の作ったいびつな形のキーホルダーが付いていた。
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