という田中さんのご厚意に甘えてしょー君の家の近くのコンビニまで送って貰った。

「ありがとうございました!」

「いえいえこちらこそ。また資料できたら連絡するね」

「はい!」

 退勤ラッシュの東京。コンビニにも人は多く、しょー君の好きな抹茶のお菓子でも買っていこうかと中に入ったはいいものの、中々レジにたどり着けず、結局家に着いたのは20時を回っていた。

「ただいま…⁉」

 合いかぎを使って玄関のドアを開けると、目の前に座ったしょー君に出迎えられた。

「遅い」

「えっ、あ、ごめん…でもまだ21時じゃないんやけど…」

「それでも女子高生がこんな時間まで連絡付かなかったら心配になんじゃん。電話でねぇし」

「電話?…あ。」

 面接のときにマナーモードにしてから解除してなかったせいで、しょー君からの電話に全く気付かなかった。

 …20件も来てた。しかもふーがさんからも来てる。

「…ごめんねしょー君。面接でマナーモードしたままやった。ふーがさんにも心配かけちゃったかなぁ…」

「電話してあげて?あいつも心配してたから」

「うん…」

 うちのお母さんから私を預かっている責任がある。あまり見たことがないしょー君の怒り顔を見てしまった。もっと気を付けてたらよかった…

「…んぁあごめん俺怒ってないよ⁉」

「…え?」

 少ししょんぼりしながらふーがさんに電話をかけようとしてたら、さっきまでの顔が嘘のように元に戻ったしょー君。

「怒ってないん?なんで?」

「いや、夏月の為にもちょっと怒った方が良いのかなって思ってやってみたけど無理だった。夏月の顔見たら俺怒りの感情なくなっちゃうのね、というか落ち込んでる顔が見てられないの。俺こそ怒ってごめんな」

 そういって頭をぐちゃぐちゃに撫でまわされて、何故か許されてしまった。

「…許したらあかんやん。良くない事やねんから」

「良くないけどお前が無事ならなんだっていいよ。ほら、早くふーがに連絡してあげて?俺よりふーがの方が面倒だと思うけど」

「えっ?…あっ、もしもし夏月です」

「なっちゃん無事⁉」

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