昇降口へ向かうと、私の鞄をひょいっと持って隣に並んだ。

「え、自分で持つって!」

「重っ…お前いつもこんな荷物もって来てんの?」

「バイトの服も入ってるから今日は多いよ。なぁ重いやろ返して?」

「重いからこそこんな細い子に持たせられんやろ。行くぞ~」

 と、私の腕を引っ張る



「なぁ夏月」

「ん?」

「本間に冬休みどこも空いてないん?クリスマス周辺じゃなくても」

「ん~…用事ある日以外バイトのシフト全部入れちゃったから、空いてるって言っても夜の9時とかになるからなぁ」

「そっか…」

 そんなに落ち込む?というくらいにへこんでしまった亮君。なんか、凄く申し訳なくなるなぁ…

「じゃあ今言うしかないやん」

「え?何を?」

「告白」


……


「…亮君が、私に?」

「他に誰がおんの。というか、めちゃくちゃ俺夏月にアピールしてたつもりやねんけど、本間に気づいてなかったん?」

「気づいてなかった、訳ではないけど…でも、亮君モテるから皆にこんな感じなんかなぁって思ったりもするし、確信はなかったからさ…」

「え~そんな風に思われてたん俺…まぁいいや。モテてるかは置いといて、俺は夏月の事が好き」




「お先に失礼します~」

「お疲れかえちゃん」

 ボーッとしながらどんどん時間が過ぎ、気づけば今日のバイトが終わってしまった。あれ、今日私、失敗とかしてないよね?大丈夫?

 家に帰ってからもどこかフワフワしていて、ふーがさんからかかって来た電話にも無意識に出てしまった。


「もしもしー?」

「ふーがさんこんばんはっ」

「はい、なっちゃん今日は何があったの?」

「何が…とは?」

「いつもより声のトーン低いし、語尾にびっくりマーク付いてないんだもん。絶対なんかあったでしょ?お兄さんに話してみなさい」

 何があっても周りの人に悟られないことが私の特技だったはずなのに、いとも簡単に見破ってしまうのはきっとふーがさんくらいだ。

「…なんか私、今日告白されたっぽいんですけど、どうし…」

「はぁ?!誰に?!」

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