ライバルが怖い話
「なーつ!」
「んなっ⁉もー何…?」
昼休み、お弁当を食べ終えた私の後ろから当たり前のように飛びついてきて、肩に腕を回してくるのは同じクラスの亮君。彼もしょー君やふーがさんと同様私のことを犬だと思っているのか異常なスキンシップをする人物だ。距離感がおかしいのか…?
「今日放課後予定入れてないだろうな?」
「え?入れてるけど?」
「え…」
「んふっ、嘘やってちゃんと開けてるで?」
亮君から、放課後遊びに行こうという誘いをそれとなくずっと断り続けていた私。その状況をいつもそばで見ていた友達から、
「1回くらい行ってきたら?」
と言われ、今日の放課後一緒に映画を見に行くことになっている。彼自身良い人ではあるから、嫌ではないんだけど…ね?
「映画何見たいか考えといてな」
「了解」
映画に行くのなんて小学生以来。
「行くぞ~」
「えっちょっと待って早っ⁉」
ホームルームが終わるなり私の鞄を持ち腕を引っ張られる。いや、私逃げないのでそんなに急がなくても良くないか?
「ちょっとストップ鞄自分で持つし1回離れる!」
「え~しゃあなしな」
青春ありきのような高校生活で、腕を取りながら学校内を歩くというのは非常に視線がいたい…それに、もっと視線のいたくなる人物が近づいてきた。
「あれ、なっつんやん…亮君とどっか行くん?」
廊下の曲がり角から陸が現れた。現れてしまった。
「そうそう。今から2人でデートするねん…いって!」
「誤解を招く発言は控えましょう」
「えっ、しょー君ゆってた彼氏って亮君やったん?はよゆーてや」
ほら、ちゃんと誤解を招いた。
「違う違う聞いて陸。その話の人でもないし、前も言うたけど彼氏居らんし、今から映画身に行くだけ。はい行くよじゃあね陸」
「お~楽しんできて~」
色々と視線が痛くなってきたので、そそくさと亮君を連れて学校の門をくぐった。幸い、亮君が急かしてくれたおかげか周りに人は居らず、気にすることなく映画館にたどり着くことが出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます