第19話 中間テスト前ですが、なにか?
「今日も頑張りますか」
さておき、私のメイドとしての仕事は前も説明したが以下だ。
朝起きる。
軽く運動をする。
朝御飯を作る。
しどー君を起こす。
学校へ行く。
友達と寄り道や横浜の友達と遊ぶ。
しどー君の家に帰ってくる。
簡単に掃除する。
週二は洗濯。
晩御飯を作る。
しどー君をメイド服で出迎える。
一緒に晩御飯を食べる。
セクハラしたい時はする。
こんな毎日の繰り返しだ。
なんというか平和だ。
処女を無理に失おうとする気は既になく、例のアプリのすら最近は起動もしていない。というか、土日もしなくていい仕事をしている。真面目なのだ、私は。
「学校で弄んでみるのもありかもね、ふふふ」
笑みを浮かべながら、一人考えている間にキッチンで仕込みが完了した。
土日は半日ほど自由にさせてもらってるので、特に問題ない。
これでお金がもらえているのでありがたやーである。
「それはそれで寂しいんだけどなー」
男の情けない姿が見るのが好きな私はエス気がたまに沸いてくるとしどー君の寝込みや湯浴みを襲う。
この前は口でしてやった。
何をとは言わないが、私としては満足でつやつやになる。
マジメガネが行き絶え絶えに我慢する姿など、大好物だ。
雇われ側としては精神的充足も重要なのだ、理解して欲しいと言っても納得してくれないので強行している。
「とはいえ、彼、ほんとーに自分からはして欲しいって言わないのよね」
ちょっと、自分の魅力に自信が無くなってきている。
く、悔しくなんかないんだからね、とツンデレ口調になれたら可愛いと思うんだけど……。
私はストレートに悔しいと思う。
ビッチとしての名折れである。
「とはいえ、初めては卒業してないのよね」
最近、校外の友達と話題にしている。
私は愛想笑いを浮かべ、Bまでの知識を披露してはいるモノの。
「何とも」
まぁ、それもそれでいいかなとは最近思うようになってきている。
丸くなったものだ。
ビッチ返上も近いかもしれない。
しどー君に感化されている気もする。
「さておき、仕上げしちゃいますかー」
今日の晩御飯は、カレーだ。
中間テストも近いとのことで作り置きが出来るモノにした。
ちなみに中身を入れると傷みやすいので玉ねぎカレーだ。
「具は、出す前に軽く炒めたり、レンジにかけたりすることで日にちが持つのよね。
特にジャガイモ。こいつは、カレーの中にあっても腐敗しやすいからねぇ」
私も勉強しないとマズいのだ。
遊んでばかりいて赤点などという事になったら、医者になんかなれない……せめて平均点。後、親に面目が立たない。
「ただいまー」
「おかえりー。
私にする?
私にする?
私にする?」
最近のマイブームが新妻気取って、タジタジにすることだ。
下から目線のこれは効果は抜群の筈……!
「十分だけ休憩するから、ご飯をお願い」
そっ気のない態度で返されて不満が湧いてしまう。
「むー、つれない!」
「はいはい」
っとはいえ、それはつい先週まで。
今週は直ぐ部屋に引っ込んでしまってツマラナイ。
中間試験で打倒委員長があると思うから、まぁ、仕方ないと思う。
「私もだからなー、中間頑張るわよ」
カレーを温め終わり、しどー君を呼び、お互いに食べ始める。
「しどー君、しどー君」
「何?」
コンタクトに慣れてきたのに、ちょっとやつれた目つきになっていて優しく無い目になってる。
ワイルドさが増しているので、これはこれで有りだと思う。
「可愛い同居人が話題振ってるんだから、そんなにカリカリしないの。
精神も落ち着けないと、テストの点数も下がっちゃうぞー?」
「……確かに、ありがとう。
可愛い初音さん」
っと、冗談交じりに笑顔を浮かべてくれる素直なのはしどー君のいいところだ。
「テストの山って掴んでる?」
「どうだろう。先生の言ってる範囲はノートに取ってるけど」
「それみせてー☆」
「初音さんも真面目に最近は授業受けてるだろ?」
確かに私も真面目に受けているのだが、
「昔のは不安なの」
「あー、なるほど。了解、あとでコピー取りに行こう」
こういう時、駅が近いとコンビニも近く便利である。
夕飯も食べ終わり、二人で外に出ると夜風が涼しい。
「ふいー、生き返る。
やっぱエアコンの冷たさだけだとなんか違和感覚えるのよね。
貧乏くさいからかもしれないけど」
「そんなことは無いと思うぞ。
実際、冷房症……クーラー病なんて呼ばれるものもあるし」
「なにそれ詳しく」
そんな会話で二人して並んで歩いていく。
そしてコピーを取り、ついでにデザートのアイスを買う。
「太るぞ?」
「大丈夫よ、ちゃんと朝、腹筋してるから」
「偉いなぁ……僕も起こしてくれ、一緒にやろう」
一緒にと言われて、心が高ぶる私が居るが平静を装いつつ、
「いいわよ。でも、どうして急に?」
理由を聞く。
「最近、勉強ばかりで運動不足を感じてるんだ。
昔は自転車通学してたから気にしなくても良かったんだが、ほら、今は地下鉄とバスだろ?
健康な肉体が脳に与える影響って計り知れないものがあるんだぞ?」
「ほーん」
私は基本馬鹿なので、後半スルーしつつ、腹を摘まんでやる。
「確かにちょっと太ってきてる気がするわ」
「だろ?」
昔ほど、逞しい体ではなくなっている気がする。
なるほど、自転車をやっていたのか。
「じゃぁ、自転車を私の分まで買って、鎌倉でも行ってみない?
夏休みにでも。
あと、日常の範囲で土日は図書館に行って勉強するために使うとか。
ほら、この近くだと野毛山図書館でしょ?
ちょうどいい距離だと思うんよ」
「いいな、それ」
しどー君が微笑みながら同意してくれる。
「バイト代、かなり貰ってるから余ってるの。だから、大丈夫よ。
そこまで高い自転車を買う訳でも無いし」
「いや、必要経費で買うから良いよ」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
そして最後には二人で吹き出してしまう。
「なら、私が平均点以上取れたらしどー君に買って貰っちゃおうかな」
「大船に乗ったつもりで頼まれてくれ」
楽しみが一つ増えたのであった。
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