ヨリシロガミと神凪の海

そこは、海を奪われた世界。
はるか昔、海のかなたから押し寄せたヨモツオニに、海は奪われ蒼い月となり、世を治めていた神々は破れ、その残滓がナレノハテとなった。


海を奪われ、神の死した世界で、それでも押し寄せるヨモツオニから、国と人々を守るのが、鏡一郎ら神凪《かんなぎ》の勤めだ。
神凪は、神の残滓――ナレノハテが溜まったツクモガミと契約し、伴神《ばんしん》として使役して、ヨモツオニと戦う。


けれど鏡一郎が伴神に選んだのは、かつて生贄として、ナレノハテの器とされた者。
カミに変えられた人間――ヨリシロガミのアタラだった。

ヨリシロガミは神凪を呪う。
けれど、鏡一郎に、彼を伴神に選ぶ以外の道はなかった。


アタラとともにヨモツオニを倒しながら、鏡一郎はやがて、カミとなった時にアタラが失っ…続きを読む