第40話

 それからも吸血鬼世界に通じるゲートを目指して進む俺の情報を得たのか、俺の進む進行方向に待ち伏せしているグールや眷属犬に吸血蝙蝠や吸血犬の群れを倒して進んで行って遠目でゲートを発見する。


 「アイツら、ゲートの周りで待ち伏せていたのか。」


 ゲートの周りには夥しい量の侵略者たちが待ち伏せていた。これまでの道中の侵略者たちの行動を思い出すと、俺を足止めするのが目的だったのではないかと思ってしまう。


 「でもあれだけ集まったのはやり易いな。イチ、あの侵略者たちを指揮している奴がどこに居るか分かるか?」


 「分かります。指揮をしている者を表示ます。」


 視界に矢印が幾つか表示されるが、その矢印が複数あり、更に一際大きな矢印がある場所があった。


 「あの位置が侵略者たちの指揮しているリーダーの場所か?」


 「そうです。」


 「ならあの場所を狙うか。ふぅ、【エナジー波】ッ!!!」


 【聖銀の宝玉】の力も乗せた5色の【エナジー波】が侵略者を指揮するリーダーの居るだろう場所を狙って放った。


 真っ直ぐに進む【エナジー波】に飲み込まれる様に消えていく侵略者たち。その侵略者を指揮するリーダーの元へと【エナジー波】は進んで行く。


 侵略者のリーダーの元まで届くかと思ったその時、真っ赤な壁が現れると【エナジー波】が食い止められてしまう。


 「なっ!俺の【エナジー波】を防いだのか!?」


 【エナジー波】が急に現れた赤い壁に防がれた事に驚いて2度目の【エナジー波】を放つ為に手のひらに集めていたエネルギーが霧散しそうになる。


 だが、赤い壁が【エナジー波】を防いだ時間は5秒にも満たない時間で、完全に防げる訳ではないとそこは安心するが、指揮をしていたリーダーは逃げられてしまった。


 そして2度目の【エナジー波】を放てる準備を終えると、俺は逃げ出したリーダーへと向かって【エナジー波】を放つが、これも赤い壁が現れて防がれてしまい、その間にリーダーは逃げ延びる。


 2度目もこのゲート内の侵略者のリーダーに逃げられてしまった為、俺は切り替えて、俺自身を狙って向かってくる侵略者の排除に【エナジー波】を使う事にした。


 そうして俺はその場の侵略者たちを指揮している吸血鬼と思われる相手を狙って【エナジー波】を放つ事に切り替えた俺の行動は正解だった。


 指揮を取っている吸血鬼を倒す事で、どうやら大規模な侵略者の群れの行動に齟齬が出始めたからだ。


 接近される前にどれだけの指揮を可能な吸血鬼を倒せるかがポイントだと判断した俺は、指揮のリーダーを示す大きな矢印は狙わずに、他の小さな矢印がある場所に向かって【エナジー波】を放ち続ける。


 6度目の【エナジー波】を放つ頃には上空から吸血蝙蝠の群れが急降下しながら襲って来始める。


 1匹だけでは対して脅威でもない吸血蝙蝠だが、それが流石に1000匹を超えると脅威にもなってしまう。


 そんな吸血蝙蝠を排除するのに【エナジー波】を使用しなければならず、その間にもグールや眷属犬に吸血犬が俺に向かって来た。


 そうして乱戦を繰り広げる中で、とうとう規模の大きな群れを指揮していた吸血鬼が現れる。


 「俺の名はサぐはっ!!」


 「………………隙だらけだ!【エナジーナックル】!!」


 俺がグールや眷属犬たちと乱戦を繰り広げている間に接近し、名乗りを上げ始めた隙だらけの吸血鬼を狙って【エネルギースラスター】を使用して一気に加速力を得た俺は【聖銀の宝玉】の力を込めた【エナジーナックル】を使って一撃で吸血鬼を殺した。


 あの吸血鬼がなんて名前だったのかは知らないが、戦闘中になんて馬鹿な奴なんだと心の中で思いながら、いまも迫って来ている吸血鬼に指揮された侵略者たちを倒して行くのだった。

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