第7話
選ばれし者の増援なんて来る訳ない。それなら援軍が来たのなら、それは選ばれていない一般人の警察官や自衛隊の可能性があると思った瞬間、今までの衝撃とは比べ物にならない威力の蹴りをアドニソス男爵に食らわされた。
「グガァ!!!」
武装の全身鎧は蹴りの直撃を受けた場所だけじゃなく、衝撃が鎧全体に走ったからか、全身鎧の全体が砕け散り、全身鎧で無事なのは手足と兜くらいだ。
そして蹴りが直撃した腹部は皮膚が弾け飛び、その下の筋肉もズタズタになり、内蔵は脳以外ほとんどが破裂していた。
そんな状態で俺は一度もバウンドする事なく、駅前にある店のガラスを割って店内に吸い込まれる様に消えるのだった。
これから起こるのは俺がアクセサリーショップで気絶している間に起こった事である。
アドニソス男爵はなかなか死なない人間にトドメを刺したと思い、集まって来ている多くの人間たちの元へと向かう。
「目標発見しました!!」
「化け物と対話をしようと思うな!!撃てえぇ!!!!」
20人ほどの小隊で行動していた自衛隊員は一斉にアドニソス男爵に銃を向けると発砲する。
雨の様に大量に銃弾をアドニソス男爵は浴びるが、その身体に擦り傷を与えるだけで銃弾は一発も身体を貫通する事はなかった。
「化け物がぁ!!!休むな!!撃ち続けろ!!!増援はまだか!!」
「今向かってるとの事です!!」
「増援が来るそれまで撃ち続けろ!!!」
アドニソス男爵は銃弾を撃ち続けられるが擦り傷を負ってもすぐに回復してしまい、自衛隊員たちの射撃でダメージを与えられる事はなかった。
それから増援の小隊が三つほど加わり、自衛隊員が一斉射撃でアドニソス男爵を撃ち続けるが、銃弾は一つもアドニソス男爵の身体に減り込む事すら出来ずにいた。
「この程度か。これなら私たち男爵でもこの世界を制圧する事が出来るな。クフフハハハハハハ!!!!!」
アドニソス男爵は高笑いを始めると、もう増援に来た自衛隊員たちには要はないと一方的な虐殺が始まるのだった。
自衛隊員たちでアドニソス男爵が遊んでいる間、俺の意識は闇に包まれていた。
何も見えない暗闇の中、俺は死ぬのかと思っているが、それを俺の本能的な部分が否定する。
そこから俺は水の中を揺蕩う様に闇に包まれ浮かんでると、突如身体から緑色の進化エネルギーが溢れ出して来る。
身体は緑色の淡い光で発光しており、この場所から意識が戻るのかと思っていたが、進化エネルギーが溢れ出しても変わらず揺蕩っていた。
どうやったらこの場所から抜け出して意識を覚醒させられるんだと悩むが、まだ本能が言っていた。より強く強靭になる為にと。
それがどう言う事なのかは分からない。だが、この心地よい場所で過ごしているのに安らいでいた。
そうしていると、進化エネルギーで満ちた身体の中に三つの違和感が感じ取れる。この三つの違和感に嫌な感じは一切せず、それ所か、これは元々持っていた俺の力なのだと本能が言っている。
心が落ち着き、本来なら持ち得ていない進化エネルギーが身体に満ちた影響で、この三つの備わっていたエネルギーに気が付けたのだろう。
本能はこの三つの力に触れる様に言っていた。その本能に従って俺は身体の内にある三つの力に触れる。
すると、三つの力に蓋をしていた何かが外れて、俺の身体に進化エネルギー以外の三つの力が満たされ始めた。
進化エネルギーの翠が量が一番だが、それ以外の青、赤、黄のエネルギーは均等に身体を満たすと、揺蕩いながら暗闇に包まれていた意識がすうっと遠退いていく。
次に俺の意識が覚醒した時に身体に変化が起こっていた。
皮膚は弾け飛び、筋肉はズタボロ、内臓は破裂していたのに、今の身体はそんな傷が一切ないだけではなく、身体には活力が満ち満ちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます