第31話

 墓地で蠢き地球側のゲートを目指して進んでいると思われるグールの頭部をすれ違い様に破壊しながら、視界に少しでも入ったグールを倒しながら吸血鬼世界のゲートを目指して駆けて行く。


 一度、グールと間違えそうになった外国人の選ばれし者と遭遇する事もあったが、そのまま会話をする事なく、俺は駆け抜けて行った。


 そうしてグールを倒しながら走って進んでいると、グール以外の侵略者と思われる生き物と遭遇する。


 そいつらは上空から飛翔しながら俺の事を襲い、反撃を受ける前に飛び上がっていく。


 「蝙蝠か!!」


 すぐに上空に飛び上がって行った吸血蝙蝠を見上げながら叫ぶと、俺は吸血蝙蝠が再び攻撃して来るのを待ってカウンターを行なおうと思って待ち構えていた。


 だが、その事を理解しているのだろう。吸血蝙蝠は一度攻撃を行なってからここまでの間、一度も攻撃をして来る事はなく、俺の頭上を円を描く様に飛び回っている。


 これはどうした物かと悩んでいると、イチが俺にアドバイスを送ってきた。


 「マスター、先ほど獲得した技の【エナジー波】を使用する事をオススメします。【エナジー波】の射程に吸血蝙蝠は入っていますからね。」


 新しく獲得した技の【エナジー波】を使う事を提案された俺は、少しの間悩んだが、吸血蝙蝠に向かって【エナジー波】を使う事を決めた。


 すぐに手のひらに4つのエネルギーを集めると、図上を飛び回っている吸血蝙蝠を狙って【エナジー波】を放つ。


 俺の手のひらから放たれた【エナジー波】は、頭上を飛び回っていた吸血蝙蝠を逃がす事なく命中させると、吸血蝙蝠は【エナジー波】に飲み込まれて消滅した。


 たった1匹の吸血蝙蝠を倒す為にエネルギーの消費が他の技よりも高い【エナジー波】を使うのはもったいないが、いつまでも頭上から狙われるよりは良かったと納得して探索に戻る。


 また墓地を走り始めた俺を狙って現れたグールや吸血蝙蝠を倒して進んで行き、俺は意識を集中させる事で、吸血蝙蝠をすぐには倒さずに、吸血蝙蝠が攻撃して来た瞬間にカウンターで倒す様にし始めた。


 そうして遭遇する侵略者を倒して進みながら、俺は吸血鬼世界に繋がるゲートがある広場にたどり着く。


 「おやおや、もうここまで来る者が来るとはね。」


 「吸血鬼か。(感じる強さからして、あれは男爵級の吸血鬼か?)」


 アドニソス男爵やケストラ男爵と同じくらいの強さだと感じる吸血鬼を警戒する。


 これは【聖銀の宝玉】の力も使うべきか?吸血鬼の動向を観察しながら、俺はいつでも動ける様にする。


 「ええ、そうです。まずは様子見ですね。お前たち、あの人間をいたぶりなさい。そうして弱らせて捕まえるのです。」


 執事服を着ている吸血鬼が言うと、ゲートの周りに居たグールや吸血蝙蝠たちが、俺に向かって一斉に攻撃を仕掛けて来た。


 ここは一気に倒すべきだと判断した俺は、【聖銀の宝玉】へと進化エネルギーを流して発動すると、武装の全身鎧に聖なる銀の力が宿った。


 「そ、それは!?それは何なのですか?!!」


 驚愕に目を見開いている吸血鬼に向かい、俺は手のひらにエネルギーを集めて【エナジー波】を吸血鬼に向かって放った。


 吸血鬼までの進行上に居たグールを聖なる銀の力を宿した【エナジー波】が消滅させて行き、驚愕して足が竦んでいた吸血鬼を【エナジー波】が飲み込んで、弱点だった事もあり、吸血鬼は【エナジー波】によって消滅するのだった。


 吸血鬼が消滅してからすぐに、俺は吸血鬼を倒したのに、いつまでも命令を聞いて襲い掛かって来るグールや吸血蝙蝠を倒して行った。


 そうして【聖銀の宝玉】の力を身に纏った事で、より簡単に倒せる様になったグールや吸血蝙蝠を全て倒し終わり、これで日本のゲート内通路のゲート周りの侵略者の一掃が終わった。

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