第17話

 「なんでお前もっと早く助けねぇんだよ!!俺らが戦ってた時に隠れて見てたんじゃねぇのか!あぁん!!」


 そう1人がいちゃもんを付けると、それに続く様に文句を言って拘束を解くのが最後の方だった連中も、このいちゃもんに同調して文句を付けてくる。


 助けてやって上げたのにこの態度。コイツらは見捨てても良かった様な連中だ。が、同調しているの人の数はそれほど多くはなく、それどころかいちゃもんに同調する者やいちゃもんを付ける者から距離を取り始めている始末だ。


 少しくらいは俺を庇う人は居ないのかと思っていると、今回の侵略者の襲撃で家族や友人を亡くした野次馬の一般市民も騒ぎ出し始める。


 「はぁー……。」


 「なんだよ、お前ぇ!!ため息なんか吐きやがって!!」


 「そうよ!貴方がもっと早く来てくれればあの人は!!」


 どいつもこいつも他力本願でどうしようもない連中だな。助けて貰ってこの態度。見返りを求めてやった訳じゃないけど気分悪い。


 段々と苛ついて騒いでいる一団を睨み付けると、どうした事か周囲は静まり返る。


 今まで騒いでうるさくしていた連中が黙った事に疑問を抱くが、鬱陶しい連中が黙った事で次は海外のゲートに向かおうとした時、また世界中に声が響く。


 『地球内の侵略者をゲートに送り返します。これにより地球内の侵略者は排除されました。選ばれし者のみなさん。侵略者との戦闘お疲れ様でした。これより転移前に居た場所に戻します。』


 そう地球防衛機構と名乗っていた声が言うと、先ほどまで居た場所から家の中に戻っていた。


 「わふ?!」


 いきなり転移して来た俺を見てシロが驚いて起き上がる。


 「ああシロ、ただいま。」


 帰って来た安堵から身体から溢れていた進化エネルギーの緑色のオーラが消えていく。


 この場所安全だと理解すると、俺は武装の全身鎧を解除する。武装を解除した事によりボロボロの服を来た俺が現れると、シロは尻尾をブンブン振って近寄って来る。


 しゃがんで近寄って来たシロを撫でながらシロに顔をペロペロ舐められていると、地球防衛機構を名乗る女性の声が聞こえて来た。


 『地球人類に告げます。これは侵略者との戦争の序盤です。これより定期的にゲートを通って侵略者は現れるでしょう。我々地球防衛機構に選ばれし者はゲートに入り、侵略者の侵略の妨害を行なって貰います。それに伴い此度の侵略者に負けた選ばれし者の分の枠を選び直します。そして、これから選ばれし者をサポートする者を送ります。詳細はサポートをする者に聞いてください。以上、地球防衛機構でした。』


 地球防衛機構からの話が終わると、まだまだこれからも戦い続けないといけない事がよく分かった。


 ゲートを通る侵略者が今回の侵略者のボスに率いられている侵略者と同じくらいの強さだったのなら、俺でも充分に戦えるだろう。だが、あのボスよりももっと強い侵略者が現れると考えてしまう。


 そんな事を考えていた俺の目の前に水晶玉の様な球体が浮いていた。


 「なんだこれ?」


 「気付きましたね。私は貴方のサポートを任されたナビゲイター000001番です。」


 機械的な女性の声で話すのは地球防衛機構が言っていたサポートをする者なのだろうか?


 「お前が言ってたサポート?」


 「はい、その通りです。これから今回の件及び今後の説明をさせて貰いま、うひゃ!」


 ナビゲイター000001番から説明が始まろうとした時、空中に浮いている球体に興味を持ったシロが飛び掛かった。


 飛び上がったシロに咥えられる寸前にナビゲイター000001番は上昇して回避する。


 「シロ、それはオモチャじゃないからな。こっち来て大人しくする。」


 「わふ!」


 「じゃあ説明を頼む。」


 シロを呼んで抱き抱えると、ナビゲイター000001番に説明をする様にお願いした。

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