第16話
俺の方へと向かって来るケストラ男爵だったが、その動きは余裕に目で追える速度でしかない。
これがアドニソス男爵と同じ男爵の吸血鬼なのかと疑問に思うほどだが、それだけ今の俺がランクアップを経験して強くなったのだろう。
俺に向かって拳を振るおうとするケストラ男爵の拳を掴んで握った。
「なっ!?なんだいっ!?ぎゃあああ!!
!!!」
掴まれた事に驚きの表情をケストラ男爵は浮かべるが、その後すぐに握った拳を握り潰した事による痛みで叫ぶ。
「離せ!!離せえ!!!僕の手を離せえええ!!!!」
涙目になりながら俺の事を睨み付けるケストラ男爵。潰れた拳を握りっぱなしだからか再生が出来ず、その為、ケストラ男爵は手を離す様に要求しながら俺の足や胴に蹴りを入れて来る。
「はぁ、この程度か。」
アドニソス男爵との戦いでは何度も普通なら死ぬ様な状態になっていた。それに比べてケストラ男爵の弱さには呆れてしまう。
これでアドニソス男爵と同格の強さならば、もしアドニソス男爵と再戦する事になったとしても簡単にねじ伏せられると確信できる。
「なんだぁあ!!その態度はあ!!下等な人間の分際でぇえええ!!!!離せと言ってるんだぁあ!!!!!」
暴れて抵抗するケストラ男爵を呆れた目で見ていると、俺はケストラ男爵を片付ける事に決めた。
「じゃあ離してやるよ!」
握っている手を離さない様にしながらケストラ男爵を持ち上げて足を着かない様にしてから手を離した。
そして、手を離したと同時に拳に4つのエネルギーを溜めて【エナジーナックル】を発動してケストラ男爵の顔面を殴り付けた。
「グゲッブゥ!!!!」
奇妙な声を上げながらケストラ男爵の顔面は崩壊し、そのまま頭部を爆散させながら駅の壁に叩き付けられクレーターが作られる。
「本当に弱いな。チッ、まだ生きてるのか、しぶといな。」
頭部を弾け飛ばされてもケストラ男爵は生きていた。少しずつ破壊された頭部を再生していく姿を見て、俺はケストラ男爵に向かって歩きながら【エナジーブレード】を手刀の構えにした両手に展開する。
そして俺は展開した【エナジーブレード】を振るってケストラ男爵をバラバラにして行った。
四肢からバラバラにして行き、再生途中の頭部も胴体も切り刻み、最後に心臓を切り刻めば、ケストラ男爵は完全に再生を止めて灰へとその身体を変えて行く。
「はぁ、呆気なかったな。あとは残党のグール?って呼ばれていた奴らを片付けて日本の侵略者は終わりだな。」
駅の階段を降りて駅前に出ると、そこにはグールに囲まれてロープで拘束された人たちが居た。
戦闘音を聞いていたのだろう人たちは現れたのがケストラ男爵ではない事に驚きと希望を感じる表情をするなか、グールたちは新たな獲物が来た動き出した。
「ケストラ男爵が死んでも命令通りに動くのか?」
一斉に襲い掛かって来るグールたちが、ケストラ男爵が死んだ事で命令から解放されて身動きの取れない人たちを襲わなかった事に安堵しながら、俺は向かって来るグールたちを技は使わずに拳と蹴りで片付けていく。
一体、また一体とグールが死んでいく度に拘束されている人たちからの歓声が上がるなか、拘束された人たちを囲んでいたグールを全て殺す事に成功する。
最後のグールを倒した俺は一番近くの拘束されていた人の拘束を力任せに引き千切る。
拘束を解かれた人からお礼が言われるが、早くこっちの拘束を解けと命令してくる者も居た。
そう言う人の拘束を解くのは後回しにして1人ずつ拘束を解ていく。
そして、最後の1人の拘束を解いた時、この場に居たほとんどの人たちから大きな喜びの歓声が上がるのだった。
だがその時、文句を付けていた1人が俺に対して暴言を吐いて来る。
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